ソニーが挑んだ家庭用PCの再創造――「VAIO Tap 20」特大レビュー:いよいよ12月8日発売(7/7 ページ)
「VAIO Tap 20」は「テーブルトップPC」を名乗る新スタイルのPCだ。Windows 8の採用とともに、家庭向けPCで一体どのような新世界を見せてくれるのだろうか。
リアルなコミュニケーションを豊かにする新スタイルPCが誕生
気になる価格は、店頭モデルが上位機から順に18万円前後、16万円前後、14万円前後だ(いずれも家電量販店の実売価格)。Microsoft Office Home and Business 2010の標準搭載もあり、際立って安価というわけではないが、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルは最もスペックを抑えた構成ならば、7万9800円からと一気に価格が下がる。
直販モデルでは、店頭モデルには存在しない上位のCore i7や512GバイトまでのSSDも選択可能なハードウェアスペックのカスタマイズはもちろん、オフィスアプリのMirosoft Office 2010シリーズを3種類から選べるうえ、アドビシステムズの「Adobe Creative Suite 6 Production Premium」付属モデルまで用意されるなど、通常のWindowsアプリも数多くの選択肢から好みの構成での購入が可能だ。
7万9800円の最小構成でも、20型ワイドのIPS液晶ディスプレイや静電容量式タッチパネル、内蔵バッテリー、64ビット版Windows 8といったVAIO Tap 20の核をなすコンポーネントは上位モデルと基本的に変わらないため、極力安価に購入するのも面白い。
VAIO Tap 20は、家庭向けPCをリビングへ持ち込むアプローチとして「テーブルトップスタイル」という形態を採ることができたほとんど初めてのPCだ。従来のPCの概念では想像もできなかった世界が開ける可能性を持っているが、これに魅力を感じるかどうかも、テーブルトップスタイルでの利用自体に価値を見いだせるかどうかにかかっている。
筆者は、このとき決め手となるポイントは2つあると考えている。1つは「同時に複数人で使うシーンが具体的に思い浮かぶか」ということ。テーブルトップスタイルは、目の前にいる人とのコミュニケーションツールとして、PCを使うための形態だからだ。
もう1つには「Windows 8のタッチUIに最適化されたアプリの充実ぶり」が挙げられる。ツールとしてのVAIO Tap 20と、OSとしてのWindows 8の相性に文句はないが、従来のクラシックなデスクトップアプリは、タッチ操作で使う積極的な意味があまりなく、VAIO Tap 20の強みが発揮されないからだ。
だからこそ、ソニー独自のタッチUI対応アプリの完成度が気になるところだが、Family Paintに加えて、Internet Explorer 10やBingの地図アプリを使うだけでも、その魅力は十分体感できたことは付記しておきたい。
家庭向けPCが担ってきた役割は、ワープロの代替をはじめ、年賀状や家計簿の作成といった「生産のための道具」に始まり、現在はSNSを通じて「ネットの向こう側にいる誰かとつながるための手段」という面が急速に重要度を増している。ここへきて、Windows 8とVAIO Tap 20の登場を迎えたことで、「リアルな世界で目の前にいる人たちとコミュニケーションを行なうためのより代」という役割が新たに付与された。
これはタブレットデバイスがすでに担いつつあった役割なのかもしれないが、20型という大きなサイズの、しかも本格的なコンテンツ制作を行なうことが可能なフルスペックのPCで(ようやく)実現できたというところに決定的な意味がある。VAIO Tap 20が切り開く新たなカテゴリーとは、これほどのインパクトを持ったものなのだと感じる。
関連キーワード
VAIO | PC | VAIO Tap | nasne | Windows 8 | デスクトップ | ソニー | 液晶一体型PC | ユーザーインタフェース | タブレットPC | NFC(Near Field Communication) | ソニーストア | タッチパネル | 直販限定モデル | モバイルBRAVIAエンジン
関連記事
2012年PC秋冬モデル:“テーブルトップ”PC登場、家族で楽しむ新基軸スタイル──「VAIO Tap 20」
新シリーズの20型液晶一体型デスクトップ「VAIO Tap 20」は、180度に寝かせてタッチ操作できる“テーブルトップスタイル”を採用。立てる/寝かせる/タッチ操作用を自在に調整できる独自のスタンド機構を備える。2012年PC秋冬モデル:新シリーズの“Duo 11”と“Tap 20”でWindows 8を推進――ソニー「VAIO」秋冬モデル
ソニーは「VAIO」の2012年秋冬モデルを10月26日より順次発売する。全モデルにWindows 8を搭載し、新たなPCの利用スタイルを提案する新シリーズの「VAIO Duo 11」と「VAIO Duo 20」がラインアップに加わった。2012年PC秋冬モデル:「Windows 8とタッチで市場をけん引する」――2012年「VAIO」秋冬モデル発表会
ソニーが「VAIO」の2012年秋冬モデルを発表。Windows 8のタッチインタフェースに最適化した新シリーズ「VAIO Duo 11」と「VAIO Tap 20」で、新しいユーザー体験の創出を目指す。いよいよエントリー販売開始:「VAIO Duo 11」徹底検証(後編)――変形ボディに秘められた真の実力とは?
直販モデルのエントリー販売が始まり、一般先行予約の販売開始を明日に控えた「VAIO Duo 11」。独特のスライド式ボディに注目が集まるが、やはりUltrabookとしての基礎体力も気になるところ。レビュー後編は各種テストでその実体に迫る。Windows 8 “+α”の魅力に迫る:「VAIO Duo 11」徹底検証(中編)――11.6型フルHDのIPS液晶と筆圧検知ペンを味わう
Windows 8タブレットでもあり、Ultrabookでもあるハイブリッド型のモバイルPC「VAIO Duo 11」は、筆圧検知に対応したペン入力までこなす。レビューの中編は、高品位な液晶ディスプレイと柔軟な入力環境に注目する。Windows 8×タブレット×Ultrabook×デジタイザペン:「VAIO Duo 11」徹底検証(前編)――“スライダーハイブリッドPC”は新時代を告げる
操作画面が大きく変わるWindows 8。その登場に合わせて、VAIOのフラッグシップノートPCも大きくカタチを変えてきた。ついに国内でも正式発表された「VAIO Duo 11」に秘められた未知の可能性を追う。こいつ……描けるぞ!:「VAIO Duo 11」を“お絵かきマシン”として使ってみる
“お絵かき”を趣味や仕事にする人にとって、筆圧対応ペンが付属するWindows 8モバイルPC「VAIO Duo 11」は実に興味深い。ソフトの制限はあるが、持ち歩けるお絵かきマシンとしての可能性をビンビン感じるのだ。2012年PC秋冬モデル:Windows 8に最適化したタブレット/ノートのハイブリッドPC――「VAIO Duo 11」
「VAIO Duo 11」はタブレットモードとキーボードモードを切り替えて利用できるハイブリッド型のモバイルノートPC。IPS方式の11.6型フルHD液晶を採用し、指でのマルチタッチ操作に加えて、デジタイザペンでの手書き入力も行える。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.