レビュー

初春に、NUCを「何に使って、どう自作するか」を考えてみたイマドキのイタモノ(3/4 ページ)

年初めのイマイタレビューは、2013年に大きな流れとなる“かも”しれない、超コンパクトな次世代フォームファクタだ。自作PCにとって「いい燃料」となるか?

Celeron 847と比べると現実的な性能。ただし用途は2Dに限る

 NUCは光学ドライブを搭載していないので、OSをインストールするためにUSB外付け光学ドライブが必要になる。再インストールのことを考えると、インストール用のUSBメモリを作ってしまうのが便利だろう。今回は、64ビット版 Windows 8 Proをインストールして検証した。ハードウェア構成ではUSB 無線LANアダプタ(GW-USEco300)を追加した以外は、NUC本体内蔵の機能を利用している。

デバイスマネージャーで、NUCベアボーンキット「DC3217BY」のハードウェア構成を確認する

 Series 525 mSATA SSDの機能とパフォーマンスをCrystalDiskInfoで確認してみると、Trimなどには対応しており、インタフェースはSerial ATA 6Gbpsをサポートする。CrystalDiskMarkによる転送速度の結果も、シーケンシャルリードでは約450Mバイト/秒を記録し、同ライトも250Mバイト/秒に達する。180Gバイトという容量で価格次第では有望な選択肢になるだろう。なお、この検証作業において1度だけ熱暴走が起きた。SSDの問題というよりは、NUC内部における空気の流れが問題と考えられる。そもそもNUCは容積が小さく、SSDを搭載するのがファンのないマザーボード裏面であることからも、風通しの良い場所でNUCを利用するのが無難だろう。

CrystalDiskInfoで確認したハードウェア情報と、CrystalDiskMarkの測定結果。Serial ATA 6Gbps接続をサポートする。なお、「予期せぬ電源断」が3となっている。これはCrystalDiskMark実行中にフリーズした回数を示している。ケースを開けてSSDに触れてみるとかなりの温度になっており、これが冷めるまでシステムから認識されないという状況に陥った

 Windows エクスペリエンスインデックスのスコアは、プロセッサが6.3、メモリはDDR3-1333の4Gバイトを2枚搭載していることもあり、7.2となっている。グラフィックスは5.4、ゲーム用グラフィックスは6.3となった。グラフィックスが、一番低いサブスコアとなっているが、Celeron 847のIntel HDなどと比べればはるかに高いスコアといえる。最後のプライマリハードディスクは、SSDということもあり、最も高い8.1というスコアだった。

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 CINEBENCH R11.5では、Multi CPUのスコアが1.81、Single CPUのスコアは0.71だ。クアッドコアのCore i7などと比べると数分の一であるが、デュアルコアで4スレッド対応、そして、Turbo Boostの有無、最大動作クロックなどを考えれば妥当だ。

Windows エクスペリエンス インデックスでは、最低がグラフィックスの5.4で、ほかは6ポイント以上だ(写真=左)。CINEBENCH R11.5で確認したCPU性能に関しては、デスクトップPC向けのハイエンドCore i7と比べいろいろと制約があるため、スコアも低い(写真=右)

 PCMark 7では、4171 PCMarksとなった。個別のテスト結果を確認すると、Productivityが2932ポイント、Entertainmentが3212ポイントと、このあたりがやや低い。全体的にCPUがボトルネックとなっている印象だ。3DMark Vantageと3DMark 11の測定結果は、3DMark Vantageのスコアが、P2767、X927。3DMark 11はE1129、X606だった。3DMark 11はギリギリ動くという程度だ。

 ストリートファイターIVでは、1366×768ドットの標準画質で48.15fpsというスコアだったが、快適ラインの60fpsには届かない。MHFベンチマーク【大討伐】の結果も標準画質の1360×768ドットで2148と同様だ。ゲームを楽しむには非力といわざるをえない。3D性能に関していえば、同じIntel HD 4000でも、Core i7-3770Kは定格の動作クロックが650MHz、最大で1.15GHzであるのに対し、Core i3-3217Uはそれぞれ350MHz、1.05GHzに設定している。ゲーム自体がCPU性能にも影響されるため、Intel HD 4000にしてはやや低いスコアというのはこのあたりを総合した結果といえる。

個別テストの結果から考えるに、CPU性能が足を引っ張っている印象だ。とはいえ、CPU性能は17ワットというTDPとのトレードオフであり、妥協しなければならない(写真=左)。3DMark Vantageのスコアでも、DirectX 10対応ゲームタイトルは動作的には厳しい印象だ(写真=中央)。3DMark 11はさらに厳しい。CPU性能はまだ余力があるようで、GraphicsスコアよりもPhysicsスコアが高いくらいだ(写真=右)

 なお、検証中に気になったのは、そこそこ動作音がすることだ。決して爆音や轟音ではないが、ブロワ型のファンを採用しているため、回転音が聞こえている印象だ。消費電力は、アイドルで10ワット程度、3DMark Vantage実行中のGPU高負荷時が40ワット程度だった。内部の構成がほぼUltrabookであるため、消費電力もUltrabookと同様といえそうだ。Intel QS77 Expressチップセット自体はDDR3Lにも対応しているようなので、1.35ボルトのDDR3 SODIMM(0.15ボルト程度の違いに過渡な期待はできないが……)を組み合わせてもいいだろう。

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