海外プリペイドSIM導入マニュアル──「アイルランド・ダブリン+ロンドンLTE 2013年」編:「ローミングも安い!」な海外定額データ通信(3/3 ページ)
イギリスのお隣、アイルランドもプリペイドSIMカードが買いやすい国だ。今回はロンドンプリペイドSIM事情のアップデート情報も合わせてお届けしよう。
隣国で使えるローミングも安価
さて、ヨーロッパではここ数年、EUや業界団体であるGSMA(GSM Association)の勧告などにより他国でのローミング料金の引き下げが相次いでいる。VodafoneをはじめT-Mobile、Orange、Telefonicaなど各国で事業を展開する通信事業者は、他国グループ企業のローミング料金をかなり割安に設定している。今回購入したアイルランドのVodafoneのプリペイドSIMカードは、ヨーロッパ各国へ持って行ってもかなりお安くローミングデータ通信が行える。
このローミングプランは「Vodafone Passport MobileInternet」という名称で、料金は1日定額/50Mバイトまで2.99ユーロ(約399円)で利用できる。また、それよりもお得な「Redプラン」も期間限定で提供されている。ひとまず2013年12月末まで提供されるもののようだが、プロモーション期間の延長がたびたび行われているので、渡航時にはVodafoneアイルランドのWebサイトで確認してみてほしい。
「Redプラン」は1日定額/100Mバイトまで3.99ユーロ(約530円)。ヨーロッパ約30カ国で利用可能だ。アイルランドから、近隣のイギリスや他国に出るときなど、現地でプリペイドSIMを買いなおさなくても済むのがとても便利である。このほかの利用可能な国はどこか、詳細は「Vodafone Red Roaming」を参照してほしい。今回はこの「Red」プランを利用してみた。
登録はルータのWeb設定ツール/SMS機能で「50020」宛に本文「RED」と記載して送信するか、前述したMy Vodafoneから登録できる。Redプランは利用した日だけ課金されるので、他国へ行く予定が前もって分かっているなら早めに申請しておくといいだろう。一応……1日の上限100Mバイトの通信量を超えると使用量1Mバイトごと0.55ユーロ(約73円)の従量制課金となるので、ローミング中は使いすぎに注意してほしい。
イギリスのプリペイドLTEサービス最新情報(2013年9月版)
では最後に、ついでに訪れたイギリス プリペイドSIMカード事情の最新情報も追記しよう。
イギリスでのプリペイドSIMカード活用は2011年2月に掲載したが、それから約2年半が経ったので状況はかなり変わっていた。
中でも2013年7月にOrangeとT-MobileによるLTEの合弁会社「EE」が新たにプリペイドでのLTEサービスを開始したのは大きなトピックだ。2013年9月現在、高速なLTEサービスをプリペイドで海外渡航者が利用できる国は限られるが、イギリスはようやくその仲間入りを果たした。
EE LTE対応プリペイドSIMカードのAPN設定 | |
---|---|
APN | everywhere |
ユーザー名 | eesecure |
パスワード | secure |
SIMカードサイズはMicro/標準両用タイプと、Nanoタイプの2種類がラインアップされている。このプリペイドSIMカードはまだ発売されたばかりということもあるためか……ルータやスマートフォンにSIMカードを入れると、自動設定されるAPNは他の事業者のものになってしまうようだ。APNは手動で右記の文字列に設定し直してほしい。
料金は、通信量2Gバイトまで15ポンド(約2375円)。ヒースロー空港Terminal 1の自動販売機ではSIMカード料金が別に20ポンド(約3166円)必要だった。スマートフォンやルータ、USBモデムで利用できるが、まずはブラウザを開きユーザー登録を行う必要がある。登録に必要な情報は氏名、住所、郵便番号。住所と郵便番号は英国の滞在ホテルのものでOK。今回は購入しなかったが、EEはルータセット、USBモデムセットも販売しているので、こちらもそこそこ使い勝手はよさそうだ。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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