Windows 10に与えられた「2つの役割」を読み解く:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)
“9”をスキップし、いきなり“10”となる次期Windows。今回明らかにされたWindows 10の最新情報から読み取れる「2つの役割」について考察する。
Windows 7以来、久々にデスクトップ環境を大きくリフレッシュ
このほかに発表されている新UIの要素も、デスクトップ型でWinodwsを使っている人たちに向けたものばかりだ。Windows 8.xではデスクトップ型アプリケーションのUIに大きな改良が加えられなかったので、Windows 7以来、久々のリフレッシュとなる。
1つはWindows 7で導入された「ウィンドウスナップ」のレイアウトが多彩になったことだ。画面全体を最大4分割しながら自動レイアウトする様は、まるで大昔の「タイリング型ウィンドウ」システムを想起させるが、細かなウインドウサイズの調整を行わなくともスッキリと並べることができそうだ。これをMicrosoftは「スナップアシスト」と呼んでいる。
さらにこうしたウィンドウの並びを覚えさせて切り替える、仮想デスクトップに近い機能も導入されている。AppleはMac OS Xで、仮想デスクトップをさらに前進させて全画面アプリケーションやウィンドウの切り替えにも対応できるMission Controlに昇華させたが、マイクロソフトも仮想デスクトップをオリジナルにアレンジしたように見える。
タスクバーの機能が拡張され、起動中アプリケーション画面の縮小表示を並べて選択可能にもなっているが、これはWindows 8のアプリケーション切り替え機能をデスクトップ画面での操作に違和感なく統合したものと言える。
開発体制を整え、OSコアの共有へと進むWindows 10ファミリー
もっとも、タブレット向けUIにまったく変化がないかと言えば、おそらく(今回は盛り込まれていなかったとしても)今後盛り込まれたり、あるいは発表されていないだけですでに組み込まれているコードもあると思われる。
開発者が対応アプリケーションの開発を始められるよう用意された……というのが、今回のTechnical Previrew版リリースであるため、「コンシューマ向けPCのUIトレンド」といった掘り下げ方をすると見誤るかもしれない。今後まだまだ改良が進む可能性があるからだ。
ただし、Windowsファミリーの整理という意味では、これでサーバからIoT(Internet of Things)までの一貫性あるシステムに向かっていることが、少しずつ見えてきているという面も感じられる。それはWindows Phoneで得られたノウハウを(いわばレガシーである)デスクトップ画面の操作に導入するといった面であり、サーバからIoT、ゲーム機までOSコアを共有するといった面などにも現れている。
OSコアの共有については、Buildなどのイベントですでに表明している部分であり、その上で動かすアプリの共通性を高めるユニバーサルアプリの仕組み導入も発表済みだ。まだまだ手探りと感じる部分もあり、今後調整されていく部分は多いと思われるが、やっとゴールに向けて動き始めたのは、Windowsの開発体制が整ってきた証左でもあろう。
Windows開発チームは、Windows 7/8を指揮したスティーブン・シノフスキー氏が去った後、やや混乱した時期があった。あまりに急な退任劇であったため、急きょ、ジュリー・ラーソン=グリーン氏が引き継いだものの、その後、短期間でテリー・マイヤソン氏と交代していたが、ここに来て落ち着いて改良に取り組んでいる。
こうした人事面での変化に加え、新たにタブレット型とノート型に切り替わる2in1型デバイスへの対応といった要素も盛り込まれる。Windows 10は名前だけでなく、「9を飛ばした」ぶんの大きな変化をWindows PCにもたらしてくれそうだ。
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