これで「Edge」を使う気になる? 目玉の拡張機能は間もなく提供へ:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
MicrosoftがWindows 10とともに投入した新ブラウザ「Edge」。課題だった「IE固有機能の分離」と「Web標準へのさらなる準拠」は2015年で一段落し、2016年は攻めに転じようとしている。その鍵となる拡張機能は、間もなく提供されそうだ。
Web業界標準への道
MicrosoftがIEの本体である「MSHTML.dll」から「EdgeHTML.dll」を分離させた理由は、互換性問題で身動きのとれなくなっていたIE時代の資産を一度取り外し、よりWeb標準に近い形で軽量・高速なレンダリングエンジンを開発しようというところにあった。その経緯は、公式ブログの「Looking back: Microsoft Edge for developers in 2015」というエントリにまとめられている。
業界標準への準拠はIE8以降の戦略目標となっていたが、これの意味するところのもう1つは「IEの動作をライバル製品の挙動に近づける」ことにある。ライバルの競合ブラウザが必ずしもWeb標準に100%準拠しているわけではないため、Web標準に近づけつつも、ライバルのサポートする仕様を優先して取り込んでいくことが必要だ。
下表はIE11とEdge 13でどれだけChromeやSafariと共通APIの数が変化したかを示したものだが、この共通APIが多いほど「ライバルのブラウザで動作するページがEdgeでもそのまま動作する可能性が高い」ことを意味している。
IE11/Edge13と競合ブラウザの共通API比較 | ||
---|---|---|
ブラウザ | Google Chrome 48 | Apple Safari 9 |
Internet Explorer 11 | 4076 shared APIs | 3769 shared APIs |
EdgeHTML 13 | 4724 shared APIs(+16%) | 4157 shared APIs(+10%) |
またMicrosoftはEdgeの開発にあたり、内部テストで既存の主要Webサイトの互換性がどの程度かを数値化して、時期ごとの推移をグラフにまとめている。
2014年7月の開発初期、EdgeのIEからの分離が行われた直後(つまりIE特有のコードを全て省いた状態)は、IE11が90%強の互換性を維持していたのに対し、Edge 13では70%を切る水準まで落ち込んでしまっている。
その後、TH1こと最初のWindows 10が一般公開された2015年7月にはほぼIE11に近い水準まで近づき、November Update(1511)とともに配信されたEdge 13の段階では100%に到達している。恐らくMicrosoft社内のブラウザ開発チームは、Edge 13に到達したタイミングで互換性に関する当初のマイルストーンを一応は達成したと考えているようだ。
とはいえ、Web標準への準拠という道のりはまだ先がある。例えば、Web標準準拠のテストの1つとして「HTML5test」が知られているが、Edge 13は満点である「555」のスコアには到達できていない。スコアは条件により若干の変動があるものの、Microsoftの資料によればChrome、Firefox、Edge、Safari、IEの順に並んでおり、間もなくFirefoxやChromeの水準に並ぶところに到達しつつある。
このEdgeの機能実装状況は逐一アップデートされて一般公開されているので、興味ある方はチェックしてみてほしい。
同社では、多くのデベロッパーらをEdgeの開発に巻き込むべく、さまざまなイベントや仕掛けを用意している。EdgeのJavaScriptエンジンであるChakraをオープンソース化した「ChakraCore」公開のニュースは記憶に新しいが、これも開発者向け施策の一環だ。
2016年はExtensions開発やEdge利用推進のため、より開発者向けのネットワーキングイベントや情報公開が盛んになるだろう。本連載でも適時キャッチアップしていきたい。
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