「Office 365」でコラボレーションの世界を飲み込むMicrosoft:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
Microsoftは「Office 365」をさらに強化し、さまざまなコラボレーションツールを取り込んでいく構えだ。年次パートナーイベント「Inspire 2018」の開催直前に発表された3つのアップデートを整理する。
コラボレーションツールを使ったリアルタイムイベント開催
アップデートの2つ目は、「ライブイベント」の設定機能だ。前述のTeamsだけでなく、企業向け動画サービス「Microsoft Stream」、企業向けSNS「Microsoft Yammer」のいずれかを使ってライブイベント(Office 365でのストリーミング動画配信)が設定可能になる。7月12日の発表によると、数週間中に利用可能になる見込みだ。
これらのツールでライブイベントを設定すると、メンバーには事前通知を行える。参加者はリアルタイムのコメント投稿によるコミュニケーションが可能だ。
Webカメラやスクリーン共有を使った簡単な機能に加えて、実際にスタジオや専用のカメラを使っての広域配信を想定した本格的な機能まで備えており、さまざまな中継に対応可能だ。中継側は視聴状況を把握できる他、Q&Aパートなどでディスカッションに参加する場合に言語の自動変換機能も利用できる。
またイベント終了後には、記録済みのイベント映像を画像認識(顔認識)機能で特定人物の発言まで自動スキップさせたり、テキスト変換でトランスクリプト(音声の書き起こし)を簡単に入手できたり、キーワード検索ができたりと、検索性が非常に高いのも特徴だ。
「Whiteboard」アプリを正式リリース
アップデートの最後は「Microsoft Whiteboard」だ。Office 365を構成するWindows 10向けのアプリで、文字通り画面上のホワイトボードを複数のユーザーで共有することでコラボレーションを行うツールだ。2017年5月にプレビュー版が公開されており、1年以上のテスト期間を経て、2018年7月12日の正式公開にこぎつけた。
Whiteboardでは、手書き入力、テキスト入力の付せん、画像の追加などを行いつつ、複数のユーザーでコラボレーションが可能だ。
注意点としては、アプリそのものは全てのWindows 10ユーザーがMicrosoftストアを通じて入手できるが、利用にはMicrosoftアカウント(MSA)またはOffice 365アカウント(ビジネスまたは教育向け)でサインインする必要があることだ。
またコラボレーション機能を利用する際に、複数のOffice 365契約をまたいだ共同作業は現時点で利用できず、将来的にサポートする予定となっている。
iOS用のクライアントについては準備中、それ以外のプラットフォーム(MacやAndroidなど)についてはWebインタフェースを通じて将来的にサポートしていく計画だ。
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