「どう生きるか」でPCを選ぶ時代に向けて――富士通2020年個人向け冬PC 注目機種を紹介(3/3 ページ)
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が2020年冬商戦向けの新モデルを発表した。あらゆるニーズに応えるべく非常に多岐に渡る新モデルの中から、筆者個人として注目する機種を紹介する。
FCCLが得意な「学生向けPC」も拡充
FCCLといえば、教育市場において高いシェアを持つPCメーカーでもある。そのノウハウを生かした小学生向けノートPCも記憶に新しい。
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」を受けて、昨今では小学校や中学校への学習用端末(PC)の導入が急速に進んでいる。一部の高校や多くの大学では、自前のPCを持ち込む「BYOD」や、学校指定のPCを購入して使う「BYAD」の動きも広がっている。
そんな時代の流れを受けて、「親とは別のPCを子どもに買い与える」というニーズも高まりつつあるという。このニーズに応えるべく、FCCLは9月、小学生から中学生が使うことを想定したタブレットPC「arrows Tab EH」を発売した。
arrows Tab EHはGIGAスクール構想が定めたスペックに準拠しており、同構想において想定されている各種活動は十分にこなせる。しかし、学年が上がってPCでやることが広がると、スペックの「物足りなさ」は否めなくなる。
arrows Tab EHは、GIGAスクール構想に準拠したスペックとなっている。同構想で想定している各種活動は十分にこなせるスペックを備えているものの、PCを使いこなせるようになってくると力不足は否めない
そんな声に応えるためか、FCCLは今回、小学校高学年から高校生の利用を想定した「LIFEBOOK EH」を新たに投入する。外観や搭載機能からも分かる通り、LIFEBOOK CHシリーズをベースに開発されたモデルで、arrows Tab EHの上位モデルであると同時に、LIFEBOOK CHシリーズのエントリーモデルでもある。
LIFEBOOK EHのCPUはCore i3-1115G4(最大4.1GHz、2コア4スレッド)で、ストレージとしてPCI Express接続の128GB SSDを搭載している。処理能力とデータの読み書きはarrows Tab EHよりも確実に快適だ。
ただし、メインメモリの容量が4GBであることは議論が分かれるだろう。
ちまたでは「メインメモリが4GBでは足りないのでは?」という声も多い。しかし、この「4GB」という容量は、GIGAスクール構想をまとめる際に、文部科学省が日本マイクロソフトと相談した上で設定した値である(参考記事)。事実、同構想が想定している各種活動だけなら、この容量でも意外とこなせてしまう。CPUがCeleronであってもだ。
しかし、LIFEBOOK EHはPCにある程度慣れたであろう小学校高学年から高校生の利用を想定している。PCにある程度慣れたということは、クリエイティブアプリの利用頻度も増えるはずだ。クリエイティブアプリはメモリを多く消費する傾向にある。CPUはともかく、メインメモリを“4GB”としたことには疑問が残る。
もっとも、LIFEBOOK EHにプリインストールされるOSはWindows 10 Home Sである。標準状態では「Microsoft Store」に掲載されているアプリしか使えない。なのでメモリが4GBでも何とかなる……と言いたい所だが、メモリを多く消費するStoreアプリも存在する。
メモリをより多く必要とする用途にはLIFEBOOK CHシリーズ、あるいはそのWeb直販モデルである「LIFEBOOK WC2/E3」「LIFEBOOK WC1/E3」をどうぞ、ということだとは思うのだが、メインメモリの容量だけは非常に残念である。
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