いよいよPCやプリンタに浸透する“AI活用” HPが年次イベントで80種類以上の新製品を一挙に発表:HP Amplify Conference 2025(1/2 ページ)
HPがグローバルパートナー向けの年次イベント「HP Amplify Conference 2025」を開催し、PCやプリンタなど新製品を一挙に発表した。発表会で展示された主な新製品を紹介する。
米HPは3月18日(米国中部時間)、米テネシー州ナッシュビルで年次パートナー会議「HP Amplify Conference 2025」を開催し、同社の最新戦略と新製品を発表した。近年「AI PC」のキーワードを掲げるPCメーカーは多いが、今回HPはメインストリーム/普及価格帯からハイエンドまで、60超のPCのラインアップを刷新し、そのほとんどを「AI PC」のカテゴリーに組み込んだ点が特徴となる。
PCだけでなく、大幅に強化されたセキュリティ機能を組み込んだプリンタ製品、AIを活用して企業のIT業務の効率化を実現する「HP Workforce Experience Platform(WXP)」の新機能提供など、PC業界におけるAIがより実用的な形で業界に浸透しつつあることが実感できる発表となった。
「完全に再設計」な新製品は発表会本編ではあえて紹介されず
カンファレンスの中で、HPのアレックス・チョウ氏(パーソナルシステムズ担当プレジデント)は「今日、我々は世界最大のAI PCポートフォリオを発表しますが、この場で皆さんに紹介する製品は1つもありません。これまでにないほどAIを活用するために、完全に再設計された60以上の新しいプラットフォーム(製品)を用意しており、全ての製品があらゆる形で仕事の未来を実現することになるからです」と述べた。
従来の新製品発表であれば、個々の製品の特徴や性能をアピールする場面だろう。しかし今回、あえて製品を紹介しないスタンスを取った。ラインアップの全てがAI PCであり、それによって実現される世界を紹介する方が重要というわけだ。
同社の最新戦略やAI活用に関する話題は後ほど改めてレポートするとして、本稿では膨大な新製品ラインアップの一部にフォーカスして紹介したい。
パワーユーザーをカバーするIntel/AMDの最新CPU搭載PC
PCの新製品群の大部分には、Intel/AMD/QualcommのNPUを統合したCPU(SoC)を搭載している。NPUのピーク性能は13~50TOPS(毎秒13兆~50兆回)と幅はあるものの、AIアプリケーションを低消費電力かつ高速に動作できる環境を整えており、HPが提供するAI対応アプリケーションやツールを問題なく利用できるようになっている。
特にコマーシャル(法人)市場向けノートPCの最上位モデルである「HP EliteBook 8シリーズ」では、IntelとAMDの48~50TOPSの性能を持つNPUを統合したCPUを備えており、Microsoftの「Copilot+ PC」に準拠した製品になっている。
デスクトップ/タワー型の「HP EliteDesk 8シリーズ」については、NPU搭載CPUを備えることでAI PC対応を果たしたのみならず、オプションとしてNVIDIA製の外部GPUを搭載できるようになっている。また、セキュリティ対策の一貫として、内部への物理的なアクセスを試みる相手に有効な「HP Tamper Lock」(カバーの開閉検知機能)をサポートする。
加えて、EliteDesk 8シリーズは同クラスのビジネス向けデスクトップPCとしては初の「耐量子暗号性能」を持ち、将来的に量子コンピュータによる暗号解読によってシステムに侵入される可能性を大幅に低減できるという。
コマーシャル向けとしては、ディスプレイ一体型のオールインワン(AIO)モデルとして「HP EliteStudio 8 AiO G1i」も用意している。
本機はオプションとしていわゆるKVM(キーボード/映像/マウス)をノートPCと共有できる「HP Device Switch」という機能を組み込める。本機とノートPCをThunderbolt 4ポートを介して直結すると、本機につないだKVMと周辺機器をノートPCで“そのまま”使えるようになる。オフィス内の「ノマドワーカー」に便利だ。ただし、HP Device Switchで接続できるノートPCは、HPが指定するもの(事前検証済みのもの)に限られる。
HP EliteStudio 8 AiO G1i 24-inch AI PCは、オプションとして「HP Device Switch」を組み込むとHP指定のノートPCとディスプレイや周辺機器を“共用”できる。「AIO PCのKVMをノートPCと共有する」という機能は、ありそうでなかなかなかった
コンシューマー(個人)市場向けの「OmniBook Xシリーズ」はクリエイター向けをうたうノートPCで、通常のクラムシェルタイプの17.3型モデルと、コンバーティブル式2in1タイプの14/16型モデル(OmniBook X Flip)が用意されている。ラインアップの大部分で47~50TOPSのNPUを統合したIntel/AMD製CPU/SoCを採用しており、画像処理や動画処理においてNPUの恩恵を受けられる。
OmniBookには他にも手頃な価格を重視した「OmniBook 5シリーズ」と、仕事や学習で高い性能を求めるパワーユーザー向けの「OmniBook 7シリーズ」が用意されている。
関連記事
「見たまま印刷」から「AIで望み通りに印刷」へ――HPの新プリンタソフトウェアが革命を起こしそうな件
HPが3月6日と7日(米国太平洋時間)に開催した年次イベント「HP Amplify Partner Conference 2024」では、同社の戦略が語られた他、同社にパートナー企業のCEOも登壇するなど一定の盛り上がりを見せた。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOやAMDのリサ・スーCEOも登場したのだが、個人的に一番注目したいのが「プリンタソフトウェア」だ。HPの成長エンジン それは「AI PC」と「ハイブリッドワーク」
HPが、世界中のパートナー企業を集めたリアルイベント「HP Amplify Partner Conference 2024」を開催している。イベントの最初に行われる基調講演では、HPの幹部や主要なパートナー企業のCEOが登壇し、将来の展望を語った。HPが法人向け「AI PC」を一挙に発表 最上位の「HP Elite 1000シリーズ G11」は約1.18kgから
HPが、法人向けノートPCを一挙に発表した。その多くはNPU搭載の「AI PC」で、Microsoftが推進する「Copilotキー」も備えている。またPolyブランドの新デバイスも発表されている。なぜPCに「AI」が必要なのか? HPのキーマン2人に聞く
「AI PC」がマーケティング上の流行語になって1年少々。AIの処理を効率良く行えるNPUを搭載するCPUもバリエーションがそろってきた。AI PCを選ぶメリットはどこにあるのか、HPのエグゼクティブ2人に話を聞いた。有力IT企業は“ガレージ”から始まった――「アメリカ西海岸」の“IT名所”を巡る
米国の西海岸(太平洋側)というと、シリコンバレーを思い浮かべる人も多いと思う。シリコンバレーの発祥の地と言われるのが、Hewlett-Packard(現HP)の創業の地でもある「HP Garage」だ。Windowsを作る「Microsoft」の本社も、西海岸に本社を構える。これらの「IT名所」を訪問してみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.