Snow Leopardを通して考える「これからのOS」(前編):発売直前!(3/3 ページ)
最新Mac OS X「Snow Leopard」の販売がいよいよ始まる。このアップグレードはユーザーに何をもたらすのか。「洗練」と「発展」の2つのキーワードで読み解いていこう。
「美しい」「楽しい」「簡単」なOS
「洗練」と「発展」で進化した新Mac OS XのSnow Leopardは、これからMacを初めて触る人の目には、どう映るのだろうか。筆者はMacに慣れ親しんでいるので想像するしかないが、ハードウェアとソフトウェアの両側から磨き上げられたことによる、滑らかな動きや、余裕を感じさせるパフォーマンスは、Mac初心者にも「心地よさ」として体感できるはずだ。
また、2001年にアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が、ソフトウェア史上、おそらく初めての形容として話題を呼んだ「なめたくなるほど美しい」Mac OS Xの優美な操作画面は、それから8年間、バージョンを重ねるたびに磨きがかかっている。前回のLeopardで“究極に到達したか”と思った人も多かったはずだが、Snow Leopardはここでもやはりさらに磨きをかけてきた。
画面の見た目の美しさにいったいどんな意味があるのか、そう疑問に思う人もいるだろう。筆者も数年前まで、その意味をうまく説明できずにいた。しかし、たまたまWindowsからMacに切り替えようとしている人にMacの操作を紹介していたとき、説明を受けていた友人の一言でその意味を理解した。「このきれいなスライドショーだったら、顧客に商品の写真を見せるのもやりやすいね。写真がんばらなきゃ」と。
つまり、PCで仕事をする場合、特に書類であったり、作品であったり、プログラムであったり、何かを自分で作りだそうとする場合は、整った環境で作業をすればそれだけで仕事へのモチベーションも緊張感も高まり、よりよい質のモノを作ろうという気になる、ということだ。アップルは、Macの画面の中の世界を、あたかも自然にそう仕上がったかのような、きれいで節目がなく、破たんのない世界に仕上げることで、使う人の内面に潜むクリエイティビティを引き出してくれる。
そして、Snow Leopardは楽しいOSでもある。例えば後編で紹介するエクスポゼの操作時のアニメーションやそのスロー再生、「なんで、ここまで?」と思わせる巨大なアイコン表示は、一見なんの役にも立たないようでいて、退屈になりがちなPCでの作業時間を、楽しく過ごさせてくれる。
友達とPC上の写真アルバムを見るときも、無機質な画面と、写真を表示するまでの操作までが楽しいのとでは、気分の盛り上がり方もまったく違ってくる。iPhoneやiPod touchを触ったことがある人は、これらの製品ではただアドレス帳をスクロールするそれだけの操作でも、楽しくてつい病みつきになってしまうことを思い出してほしい。Snow Leopardは、まさにそれをPCで実現するOSだ。
楽しいことの効能は遊びだけではない。例えば同じ仕事をするのでも、薄暗くて嫌な臭いのする部屋で仕事をするのと、眺望のきれいな部屋に置かれたセンスのいいテーブルで仕事をするのでは、そもそもの仕事に向かう気分が変わってくる。「仕事に楽しさなんて不要」という質実剛健な人もいるかもしれないが、つらいと思ってする3時間の仕事と、楽しいと思いながらする3時間の仕事では、アウトプットも自然と変わってくるはずだ。
もちろん、Snow Leopardはただ美しいだけではなく、初心者の人でも簡単に使いこなせることを目指したOSでもある。アップルの製品は、もともと分かりやすさ、使いやすさを重視して作られていたが、最近ではiPodやiPhoneといったコンシューマー製品を多く生み出してきたことで、それによりいっそう磨きがかかった。Snow Leopardでは、このiPodやiPhoneのために生み出した使いやすい操作の方法を、きちんと取り込んでOSの一部に溶け込ませているのだ。
後編では実際にSnow Leopardを操作して、「美しい、楽しい、簡単」の事例をいくつか動画で紹介していこう。
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