FPSゲーマーにLynnfieldはお買い得?:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
“お手ごろNehalem”のLynnfieldだが、PCI ExpressをCPUに統合するなど、グラフィックス回りも変更された。ゲームユーザーにとってのLynnfieldの存在価値をさぐる。
念のため、PCI Expressレーンの数の影響もチェックする
先ほどのベンチマークテストの結果では、SLI構成でBloomfieldとIntel X58 Expressのシステムがわずかに有利であったが、これはグラフィックスカードが利用しているPCI Expressレーン数の違いが原因なのだろうか。そこで、LynnfieldとIntel P55 Expressのシステムで有効なレーン数を変更することで、8レーンと16レーンにおけるパフォーマンスの違いをチェックする。
なお、このテストでは、グラフィックスカードを1枚組み込んで16レーン接続にした状態と、2枚を組み込みつつSLIを無効とすることで8レーン接続のシングルGPUとした状態でそれぞれ測定した結果を比較している。
- Core i7-870(2.93GHz)でTurbo Boostをオフ、GPUはシングル構成でPCI Expressは16レーン接続
- Core i7-870(2.93GHz)でTurbo Boostをオフ、GPUはデュアル構成だがSLIを構成しない。PCI ExpressはGPU1つあたり8レーン接続
レーン数の違いに注目したこのベンチマークテストでは、ほとんどの結果で16レーンを有効にしたシステムが優勢となった。3DMark06の1920×1200ドットテストのみ、8レーン有効時で優勢となっているが、これは、平均値を取るために繰り返して行ったテストの中で、16レーン有効時に1回だけ出た低いスコアが平均値に影響したためで、そのスコアを除けば16レーン有効時の結果が上回る。ゲームタイトルのベンチマークテストでは、すべてのテストで16レーンが8レーンを上回った。
これらの結果から、16レーンと8レーンの違いは明らかに存在するといえる。ただ、デフォルトの設定でLynnfieldとIntel P55 Expressの結果が優れているのは、Bloomfield側のメモリ1チャネル分の性能向上や、16レーン×2のSLIにおけるパフォーマンスの優位性よりも、LynnfieldのIntel Turbo BoostによるCPUパフォーマンス向上の影響が大きいと考えられるだろう。
「絶対的な性能と将来への投資」でなければLynnfieldとIntel P55 Expressでゲームも十分
Intel Turbo Boostの効果もあり、LynnfieldとIntel P55 Expressのシステムは、ゲーム利用でも条件によってBloomfieldとIntel X58 Expressのシステムを上回る可能性を秘めていることが、今回の検証で分かった。ただ、LynnfieldではマルチGPU構成で有効になる8レーン×2という制約が性能に影響しているゆえに、将来登場するだろう、GPUの3D性能を思いっきり消費するゲームタイトルで影響が出る可能性は捨てきれない。
また、LynnfieldにはCore i7-975 Extremeのような、最速クロックモデルが用意されず、また、倍率ロックが解除されたモデルも用意されないため、コストを気にせずパフォーマンスを求めるエンスージアストにはBloomfieldとIntel X58 Expressのシステムが最適となる。
ただ、定格以上の設定などを行わないユーザーであれば、LynnfieldとIntel P55 ExpressのシステムでもBloomfieldとIntel X58 Expressに迫るパフォーマンを手に入れることができる。システムの購入価格は、CPUがCore i7-950とCore i7-870でほぼ同じ、動作クロックがわずかに低いCore i7-860では半額になる(Bloomfieldで価格がほぼ同じCore i7-920は動作クロックが2.66GHzとCore i7-860を下回る)。
このコストをGPUにシフトできるわけで、予算の枠でバランスよくパーツの構成を考えなければならないゲームユーザーにしてみれば、無理してBloomfieldとIntel X58 Expressをそろえるより、LynnfieldとIntel P55 Expressを選んでGPUを豪華にするのがゲーム人生にとって幸せな道ということになるだろう。
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