“最高のデスクトップPC”をさらに強化――新型「iMac」製品説明会:Magic Trackpadを試した
新製品発表から一夜明けた7月28日、アップルがプレス向けの説明会を実施し、新型「iMac」や「Magic Trackpad」の特徴を語った。
“究極のデスクトップPC”を性能面と操作性で強化
最近のアップル製品では「iPad」や「iPhone 4」が注目を集めているが、同様にMacも好調だ。直近では4月に「MacBook Pro」、5月に「MacBook」、6月に「Mac mini」と新製品を立て続けに投入しており、事実、この第3四半期(4〜6月)に出荷されたMacは347万台と、前年同期比に比べて33%の伸びを見せている。これは四半期ベースの出荷台数としても過去最高の記録で、国内のPC総出荷台数にほぼ匹敵する数だという。
今回投入された「iMac」も人気の高い液晶一体型シリーズだ。同社のiMac担当者は、BCNおよびGfKの販売データを引用しながら、2009年10月に登場したiMacが2009年11月から2010年6月までの7カ月間で「長く販売ランキングの上位にいる。日本で最も売れたデスクトップPCだ」と語り、その競争力の高さを3つの要素で説明する。
1つ目は大きく美しいLEDバックライトディスプレイ、2つ目がパフォーマンス、そして3つ目がMagic Mouseに代表される革新的なユーザーインタフェースだ。このうち新型iMacでは、パフォーマンスとユーザーインタフェースをさらに強化したという。
まず、パフォーマン面では全モデルでCore iシリーズのCPUが採用された。オプションに最大3.6GHzのデュアルコアCPU(Core i5)、および最大2.93GHzのクアッドコアCPU(Core i7)が用意されているほか、Core 2 Duo(3.06GHz)からCore i3(3.06GHz)に強化された下位モデルでも最大50%の性能向上が見られるという。一般的な液晶一体型PCに採用されるシステムがノートPC向けのArrandale(開発コード)であるのに対し、iMacではクロックの高いデスクトップPC向けのClarkdale/Lynnfield(開発コード)が採用されており、アップルは性能面での優位性を強調する。
また、全モデルで外部GPUを実装しているのもポイントだ。搭載GPUは下位モデルから順に、Radeon HD 4670(256Mバイト)、Radeon HD 5670(512Mバイト)、Radeon HD 5670(512Mバイト)、Radeon HD 5750(1Gバイト)という内容で、こちらも最大3倍ほど性能が向上したという。もっともこの点については(仮にCPU統合グラフィックスを利用できるチップセットを搭載していたとしても)Intel HD Graphicsでは従来のGeForce 9400Mにも劣るため、外部GPUの全面採用は避けられない選択だったのだろう。
このほか、動作クロックを1066MHzから1333MHzに引き上げたメモリの強化や、オプションで用意される256GバイトSSD(27型ワイドモデルのみ)/2TバイトHDD、SDXCをサポートしたSDメモリーカードスロットなど、細かいアップデート内容が改めて説明された。なお、下位モデルはWolfdaleからClarkdaleへの変更でTDPが若干上がっているが、「アルミの外装は、内部に熱がこもりやすい樹脂製のボディに比べて放熱効率に優れており、外側が熱くなるのはきちんと放熱できている証拠と考えてください」とのことだ。
「Magic Trackpad」と「Apple Battery Charger」
iMacと同時に「Mac Pro」と「LED Cinema Display」も発表されているが、こちらの販売はもう少し先になる。このため、今回の製品説明会でも省かれてしまったが、その代わりに、オプションとして追加された「Magic Trackpad」と「Apple Battery Charger」に時間が割かれた。特にノート型Macですでにトラックパッドの使い心地を知っている人の多くは、デスクトップ型Macのユーザーインタフェースを補完するMagic Trackpadが気になっているはずだ。
Magic TrackpadはBluetooth接続のマルチタッチ対応入力デバイスで、ちょうどMacBookやMacBook Proのガラス製トラックパッドを外付けにしたような製品だ。酸化皮膜処理が施されたアルミのボディに、ガラス製の入力エリアを持ち、実際に触った感触や操作感、提供される機能も踏襲している。
パッドの押し込みも完全に再現されているが、これは底面のゴム足に秘密があり、滑り止めとしてだけでなく、加重に対してこの足の部分が沈む仕組みになっている。きちんとしたクリック感もあり、MacBook/MacBook Proに比べて80%ほど拡大された入力エリアの滑り心地も絶妙だ。また、パッドの奥行きと傾斜はApple Wireless Keyboardと同じで、横にぴたりとくっつけると、もともとそこにあったかのような自然なデザインになっている。また、タップをクリック操作に設定すれば、机上に置かず両手でホールドしても使えるので、マウスよりも場所を選ばすに利用できそうな印象を受けた。現時点での出荷予定日は3〜5営業日となっており、まだ直営店のアップルストア銀座にも入荷していない状況だが、近々店頭に並ぶと思われるので是非試してみてほしい。
一方、Apple Wireless KeyboardやMagic Mouse、Magic Trackpadとワイヤレス周辺機器が増えたことで、充電池用の純正アクセサリも登場している。「Apple Battery Charger」には6本の単3形ニッケル水素電池が付属しており、最長10年という長寿命が特徴。また充電から1年経過しても80%のバッテリーを保持し、満充電になると待機電力を30ミリワット(同社の説明では通常は約315ミリワット)まで抑える仕様になっている。1本でも2本でも充電が可能だ。「2本はMagic Mouse、2本はMagic Trackpad、2本は充電と使い回しが可能です」(同社)。
今回発表されたiMacとMac Proで、MacBook Airを除くアップルのPCラインアップはすべて刷新されたことになる。同社は「これでどのWindowsユーザーにもぴったりのMacがあります」と語り、好調の波に乗ってさらにWindowsからMacへの移行をうながしていく構えだ。
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