最強クラスのサウンドカード「SE-300PCIE」をピュアオーディオ目線でチェックする:どれだけスゴイか(3/3 ページ)
PCパーツとして最高クラスのスペックを備えたサウンドカード「SE-300PCIE」が登場。その音は“ピュアオーディオ”として聴いても納得できるか。オーディオライターが、オーディオ目線でチェックする。
USB接続の外付けサウンドデバイスとの音質差は?
気になるもう1つのポイント、USB接続のサウンドユニットである「SE-U55SX2」と音質はどれだけ違うだろうか。
結論を先に述べると、SE-300PCIEはSE-U55SX2とは次元が違うクオリティだった。その差は内蔵か外付けか、DACの種類がうんぬんというよりも、製品づくりに対するクオリティ追求の差だろう(世代差といっていいかもしれない)というイメージだ。単純に音質でどちらか選ぶのだったら、断然SE-300PCIEだと結論できるほど印象が違うものだった。
というわけで、SE-U55SX2との音質差があまりにもかけ離れていたため、他社のUSB DACも持ち出してその差をチェックしてみよう。用意したのはHRT「Music Streamer II」だ。
Music Streamer IIは、アメリカのHRT(HighResolution Technologies)製のUSB DACだ。USBバスパワーで動作し、出力はアナログRCAのみ(ヘッドフォン出力はなし)というシンプルな構成となっている。SE-300PCIEと同様に独立電源を再生成する回路を搭載し、アシンクロナス(非同期)モードを使用することでジッター(正確にはジッターエラーといい、時間軸の狂いによる信号エラーやひずみのこと)を排除するなど、さまざまな高音質化のための工夫を施している。サンプル周波数は96kHz/24ビットまで対応する。
Music Streamer IIの音と比較すると、ダイナミックレンジやS/N感はほぼ変わらなかったものの、解像度感と空間表現の細やかさに差が出た。Music Streamer IIは派手さこそないものの、音楽を飾りもひずみもなくストレートに伝えてくれるため、クリアですがすがしい音に感じる。対してSE-300PCIEは勢いはすごいが、細やかな部分が描ききれず、それが災いしていまひとつピントが甘いかなと感じてしまった。
とはいえ両者の差はピュアオーディオの視点で「詳細に違いを聴けば」というものである。
機能的に両者には若干の差があるので、単にアナログ音声のみ比較してSE-300PCIEが劣るとは判断しがたい。その音質にしても、もう少しコンシューマー寄りのスピーカーシステムであればどうだろうと思う実力はしっかり見せつけてくれた上、グラフィックスカードレスのPCシステムにするなど、PCシステムによって音質や音色の傾向がけっこう変化する可能性はある(PCゲーム用システムとなると両立は難しいだろうが……)。高レベルなアナログサウンドを追求するピュアオーディオの世界は天井がないので、これはある意味仕方ない。SE-300PCIEにとって少々厳しい表現となったのも、オーディオ機器だと認めつつ、その目線で評価したためである。
さて、筆者宅の大型スピーカーにはベストな相性とはならなかったが、ブックシェルフ型のような中域の濃密感が重要となるスピーカーの場合はマッチする可能性が高いと思う。単純に好みの話をいっても、温度感の高いSE-300PCIEが好みだという人は多くいるはずだ。
いずれにせよ、SE-300PCIEのPCオーディオとしてのレベルは「PCパーツではなく、オーディオ機器と肩を並べて比較できるレベル」に達している。家庭のこだわりAVシステムとともにSE-300PCIEを使用するだけで、普段使用するデスクトップPCが「とびきりハイクラスなサウンドを聴かせてくれるPCオーディオプレーヤー」に変身するだろう。
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関連リンク
- 製品情報(SE-300PCIE)
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