ようやく「Llano」登場──“Sabine”ノートで実力をチェック:イマドキのイタモノ(4/4 ページ)
メインストリーム向けFusion APU“Llano”と、ノートPC向けプラットフォーム「Sabine」が登場。クアッドコアAPUが発揮する性能を検証する。
3D性能に活路を見出すLlano
ただ、グラフィックスコアの影響が大きいベンチマークテストでは、この傾向が変わってくる。まず、CINEBENCH R11.5の結果では、マルチCPUでCore i5-2410Mの約7割、シングルCPUで約半分となった。GPU性能に関してはOpenGLのスコアが約1.65倍と高い。
Media Espressoで行った動画エンコードのテストでは、各環境のハードウェア支援機能をオンとした状態でQuick Sync Videoに対応するCore i5-2410Mが短時間で完了する。AMDでもハードウェアエンコードが可能だが、その所要時間はCore i5-2410MのCPUエンコードよりかかる。
3Dグラフィックスのベンチマークテストは3DMark Vantage、および、バイオハザード5、FINAL FANTASY XIV Official Benchmarkを計測した。Core i5-2410Mに統合されるIntel HD Graphics 3000がDirectX 10までのサポートであることからDirectX 10での比較になる。
3DMark Vantageから比較していくと、3DMarksでIntel HD Graphicsに対してA8-3500Mの統合グラフィックスコアであるRadeon HD 6620Gが約1.5倍というスコアとなった。ディスクリートGPUのRadeon HD 6630Mと連携したDual Graphicsにおけるスコアに関しては、Radeon HD 6620Gのさらに倍のスコアとなる。
バイオハザード5に関しては、Intel HD Graphics 3000比で2倍。1280×768ドットでテクスチャ品質を「低」(ほかの項目は「高」)に設定した状態で30fpsを超えている。Final Fantasy XIVに関しては、比較的重いタイトルだけにフレームレート的には快適といえないものの、およそ3DMark Vantageに近いスコアとなった。
CPUとGPUが協調するアプリケーションがそろうまでは「3Dが高性能なAPU」として評価
Fusion APU「Aシリーズ」は、ミドルレンジからバリュークラスのCPUに高性能なグラフィックスコアを統合したというイメージが、今回の性能検証から得られた姿だ。CPU性能をグラフィックコアで補い、トータルでの“ユーザー体験”を訴求するのがFusion APUのコンセプトだ。現時点でAシリーズがその存在をアピールするには、統合型グラフィックスコアとしては高い3D性能を生かし、「ゲームが楽しめるノートPCを購入しやすい価格で提供できる」ことを訴求することになるだろう。
Aシリーズにおける統合グラフィックスコアの3D性能の高さはノートPC向けプラットフォームとしては画期的といえる。エンタテインメント性能と価格競争力をアピールしたいノートPCであればSabineプラットフォームは有力な選択肢となる。Dual GraphicsでCrossFireを有効にすれば3D性能はさらに向上する。UVD3によってメディアの再生性能に関しても十分だろう。
ただし、ビジネス用途では依然としてCPUのパフォーマンスが重要だ。評価機材の描画速度の速さはビジネスシーンでも評価できるかもしれない。しかし、大きめな表計算などを短時間で処理するには、より速いCPUパフォーマンスが求められる。COMPUTEX TAIPEI 2011にてFusion Aシリーズの後継となる「Trinity」も公開された。TrinityはCPUコア部分がK10から次世代コアのBulldozerに進化する。CPUとGPUの融合を性能で満足させるFusionとなるのはTrinityからなのかもしれない。
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