2万円を切る「IdeaPad Tablet A1」に不安はないか?:往復10時間の鉄道旅でも使ってみた(3/3 ページ)
10.1型モデルが主流のAndroidタブレットにレノボ・ジャパンが7型モデルを投入。しかも、価格は2万円を切るという。え、ちょっとそんなに安くて大丈夫ですの?
シングルコアARMを1GHzで走らせる意外な性能
繰り返しになるが、IdeaPad Tablet A1で最も注目されるポイントの1つが、最小構成で2万円を切る実売予想価格だ。価格を抑制するため、本体搭載のCPUをハイエンドモデルで主流となっているTegra 2のようなデュアルコアではなく、シングルコアのOMAP 3622(ARM Cortex-A8ベース)を採用する。システムメモリも1Gバイトではなく512Mバイトと少ない。OSもIdeaPad Tablet K1やThinkPad Tabletで導入したAndroid 3.1ではなく、Android 2.3(評価機は2.3.4)となっている。(掲載当初、ARMの表記に誤りがありました。おわびして訂正します)
とはいえ、IdeaPad Tablet A1は、OMAP 3622を1GHzで駆動する。実際、「Quadrant Professional 1.1.7」で測定した結果は、Totalスコアやグラフィックス関連、容量の少ないメモリ関連のテストでかなわないものの、CPUはMOTOROLA XOOM TBi11Mに次ぐスコアを出している。
バッテリー駆動時間は、スペック表に記載される値で約7.2時間とされている。これは、IdeaPad Tablet K1の約8.6時間や、ThinkPad Tabletの約9時間より短い。軽量小型なので当然といえるが、しかし、ThinkPad Tabletのレビュー記事で行った動画連続再生によるバッテリー駆動時間の検証と同じ条件(1280×720ドット、再生時間1分のMP4ファイル、液晶ディスプレイの輝度は最高としたほか、無線LANは有効にして15分おきにTwitterにアクセス)で、IdeaPad Tablet A1でも確認したところ、ThinkPad Tabletと同様に、1時間で20%ずつバッテリー残量が減っていき、5時間10分ほど経過したところで電源が切れた。
なお、この動画連続再生中に、背面と正面の液晶ディスプレイベゼルの表面温度を格子状に設けたポイント(正面8点、背面9点)で測定したところ、縦位置にした状態で正面は、左列が上から32.6度、41.0度、33.8度、中央列が上から29.6度、(中央を抜かして)、25.8度に、右列が上から28.2度、29.2度、28.4度となり、背面は、左列が上から30.4度、22.2度、32.8度、中央列が上から28.2度、32.4度、36.2度に、右列が上から32.8度、35.8度、41.6度となった。縦位置で使う場合、右利きのユーザーは左手で本体を持つようになるが、その左手で持つ部分で温度が高くなる傾向がみられた。
価格を抑えた海外メーカーのタブレットデバイス、となると、日本では「安かろう悪かろうじゃございませんこと」と懸念を示すユーザーも少なくない。しかし、大規模グローバル企業として全世界に製品を出荷して、多くのユーザーのフィードバックを製品に反映しているレノボの製品ということもあって、IdeaPad Tablet A1のつくりに不安を思うところはなかった。
価格を抑えるためにARM Cortex-A8ベースのシングルコアCPUを搭載してOSはAndroid 2.3を導入しているが、メインタブレットとして使った1週間ほどの評価作業中で、性能に困惑する場面に遭遇していない。バッテリー駆動時間も、東京から山形県日本海側にいたる5時間の鉄道旅でずっと利用でき、所有するモバイルバッテリーで充電した後、帰りの旅でも快適に使えた。
そういうわけで、IdeaPad Tablet A1なら、たとえ2万円を切っていても品質に不安なく、日常使いなら不足なし、という言葉でこのレビューをまとめてみたい。
→Lenovo公式サイトで「IdeaPad Tablet A1」をチェックする
7.0型ディスプレイに、GPS、Flashサポート、マルチメディア、などの機能を備えたエントリータブレット。
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