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大解説! 新世代GPU“Kepler”が性能2倍で省電力の理由KeplerでGPUが動く時代に(3/4 ページ)

NVIDIAの新世代GPUアーキテクチャ“Kepler”が登場。発表当初、その急激な性能向上と消費電力削減が話題となったが、果たしてそれは実現できたのだろうか?

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新世代のアンチエイリアシングは低負荷で高画質

 NVIDIAは、GPUにあまり負荷をかけずにより高品質な描画を実現する、新しいアンチエイリアシング処理の導入に積極的だ。2009年に“FXAA”(Fast approXimate Anti-Aliasing)と呼ぶ、CUDAコアを利用してアンチエイリアシングを後処理する技術を開発し、従来のMSAA(Multi Sampled Anti-Aliasing)と同等の高品質描画を、より低負荷で実現できるようにした。

 この技術は、レンダリング中にアンチエイリアシング処理を施すMSAAと異なり、GPUコアを使ってレンダリング後のデータからエッジを検出して補正するため、GPUへの負荷が低く済むメリットがある。2011年の末には「Battle Field 3」が「アンチエイリアス・ポスト」として同技術をサポートしている。

4x MSAAとFXAAの比較。4x MSAAよりもFXAAのほうがジャギーの少ない。NVIDIAによれば、FXAAは4x MSAAよりも60パーセントも高速に動作するため、GPUへの負荷も低いと説明する

 NVIDIAは、FXAAを同技術に対応していないゲームタイトルでも利用できるように、NVIDIAコントロールパネルで設定することで、GPUのリソースをパフォーマンス優先に振り分ける。同社はさらに高品位なポストプロセス(後処理)型のアンチエイリアシング技術として「TXAA」(Temporal approXimate Anti-Aliasing)も開発している。TXAAでは、8x MSAA相当の画面描画品質を2x MSAA相当の負荷で実現するほか、2つのフレームを合成してより高画質描画を実現するTXAA2では、8x MSAAを上回る品質を4x MSAA相当の負荷で実現する計画だ。

 ヘンリー氏は、「TXAA技術により、これまでSLIなどのマルチGPU構成でなければ実用的ではなかった8x MSAAクラスの描画品質によるゲームプレイも、シングルGPUのグラフィックスカード単体構成で実質的に動作できるようになる」と訴求する。すでに主要ゲームデベロッパが、TXAAのサポートを表明しており、早ければ2012年のクリスマス商戦に対応するゲームタイトルが登場する見通しだ。なお、これらの新しいアンチエイリアシング技術は、従来モデルでも利用できるようになる予定だ。

FXAAに対応しないゲームタイトルでも、NVIDIAコントロールパネルで同機能を有効にできる。また、GeForce GTX 580などでも利用可能になる見通しだ(写真=左)。FXAAよりも高品質なポストプロセス型のアンチエイリアシング処理技術として「TXAA」も用意する。「TXAA1」では、2x MSAAと同等の負荷で8x MSAAと同等、またはやや上のアンチエイリアシング品質を実現する。2つのフレームを合成して、よりきめ細やかなポストプロセス処理を施す「TXAA2」では、4x MSAAと同等の負荷で、8x MSAAを大きく上回る描画品質を実現する(写真=右)

TXAAによるアンチエイリアシング処理の品質比較。左からNoAA、8x MSAA、TXAAとなる。SLI構成などでなければ実用的でなかった8x MSAA相当の描画品質が、シングルGPU搭載グラフィックスカードの単体構成でも実現可能になる

描画品質を向上させる技術として、GeForce GTX 680では、Vsyncの有効と無効を動的に制御する「Adaptive VSync」もサポートする。画面表示が引っかかるような状態になるほどフレームレートが落ちた場合、VSyncを一時的に無効にし、なめらかな描画を実現する

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