吉田社長、「Ivy Bridge」で自作する:第3世代のメリットを自ら体験
“Ivy Bridge”こと第3世代Coreプロセッサー・ファミリーが発表になった4月24日に、インテルは“Ivy Bridge”世代のメリットを訴求する説明会を行った。
ユーザーイベントに吉田社長も出陣
インテル代表取締役社長の吉田和正氏は、22ナノメートルプロセスルールと3Dトライゲートトランジスタ技術を導入したIvy Bridgeのウエハを示しながら、これらの新技術を導入したIvy Bridgeが、性能が向上し、多彩な機能を備えながらも低消費電力を実現したことで、選りすぐれたユーザー体験を可能にするとした。
吉田氏は、Ivy Bridge世代のCPUがSandy Bridge世代のCPUと比べて、マルチスレッド処理能力が20パーセントアップし、3D描画処理の速度は2倍に達するなど性能が向上しただけなく、Ivy BridgeとIntel 7シリーズチップセットとの組み合わせでUSB 3.0とPCI Express 3.0が利用できるなど、性能と機能の進化を訴えた。また、そのIvy Bridgeの性能をユーザーが体験できるイベントの「Intel Technology Day in AKIBA 2012」を4月29日にベルサール秋葉原で開催することを明らかにした。このイベントには吉田氏も参加する予定だ。

“Ivy Bridge”世代のウエハを掲げるインテル代表取締役社長の吉田和正氏(写真=左)。やはり、Ivy Bridgeで最初の訴求ポイントとなるのが22ナノメートルプロセスルールと3Dトライゲートトランジスタ技術だ(写真=右)
“Ivy Bridge”は、構成トランジスタ数が14億個に達し、3Dトライゲートトランジスタ技術の導入とあわせて高性能、多機能、低消費電力を実現した(写真=左)。Sandy Bridge世代と比べて、マルチスレッド処理能力は20パーセント増し、3D描画能力は2倍に達する(写真=右)
ユーザーが“Ivy Bridge”世代CPUの性能を体験できるイベントを4月29日にベルサール秋葉原で行う。当日は吉田氏も会場に姿を見せる予定だ(写真=左)。さらに、Ultrabookをアピールするイベントも5月10日に東京ミッドタウン イベントスペース ガレリア「アトリウム」で行う。吉田氏や“例のトラ”のほか、ゲストを招いたトークセッションにUltrabookショーケースを設ける予定だ(写真=右)吉田社長、Ivy Bridgeで自作PCを1時間
インテル技術本部長の土岐英秋氏とIA技術部長の秋庭正之氏は、Ivy Bridgeに導入した新技術と機能について紹介した。3Dトライゲートトランジスタ技術の概要では、平面形状のプレーナ型トランジスタのゲートに比べて、3面で接触するゲートになった3Dトライゲートトランジスタは、スイッチング性能が37パーセント向上するほか、同じスイッチング性能の場合は消費電力が半減することを紹介した。
内部構成の説明では、こちらも世代が新しくなった統合グラフィックスコア「Intel HD Graphics 4000」「Intel HD Graphics 2500」とクアッドコア、コア間で共有する3次キャッシュメモリを従来と同じリングバスで接続する構成で電力効率が向上したことを示した。ノートPC向けのIvy Bridgeの説明では、性能と電力効率、グラフィックス性能の強化とセキュリティ機能の強化という4分野ごとに特徴を挙げている。特にグラフィックス性能では、Quick Sync Videoによる動画ファイルのトランスコード処理能力がSandy Bridgeの2倍になったことや、3D描画性能も2倍に、そして、DirectX 11への対応についてデモを交えて説明した。
なお、説明会の質疑応答で、今回発表したクアッドコアのIvy Bridge世代CPUのリテールボックスを4月29日から出荷することと、デュアルコアモデルのリリースを第1四半期に予定していることを明らかにしている。

Ivy Bridgeで導入した3Dトライゲートによってスイッチング性能は37パーセント向上し、同程度のスイッチング性能なら消費電力は半減する(写真=左)。内部に配置したクアッドコアに統合グラフィックスコア、共有3次キャッシュメモリはリングバスで接続して高速でデータを転送する(写真=右)
Ivy Bridgeの特徴を性能と電力効率、グラフィックス性能とセキュリティ性能の側面で並べる(写真=左)。Intel 7シリーズチップセットとの組み合わせでUSB 3.0、3画面同時出力、PCI Express 3.0などインタフェースも拡張する(写真=右)
新世代のCPUが登場すると恒例の「吉田社長自作PC」が登場する。今回はIvy Bridge世代のCPUとIntel 7シリーズチップセット搭載マザーボードが主役だが、吉田氏は、「サイズが小さい、ねじが少ない、ケーブルが少なくて取り回しが楽、組み立て1時間」と、Ivy Bridge世代の低消費電力で可能となったコンパクトPCへの搭載と簡単な組み立てを訴えた関連キーワード
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