「VAIO Duo 11」のパフォーマンスを極限まで引き出す設定とは?:VAIO Duo 11ロードテスト(2)(2/3 ページ)
ソニーのスライダーハイブリッドPCこと「VAIO Duo 11」には、標準状態以上のパワーを引き出せる設定が用意されているという。某アニメの「トランザムッ!」というわけではないが、それは一体どんなものなのか、検証してみた。
キーボードモードでcTDPの効果を確かめる
実際のところ、cTDPによるTDP Up、TDP Downの設定はどのくらい性能に影響があるのだろうか。各種ベンチマークテストで検証を行った。評価機のスペックは、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルで最高の構成だ。CPUはCore i7-3687U(2.1GHz/最大3.3GHz)、メモリは8Gバイト(オンボード4Gバイト+モジュール4Gバイト/PC3L-12800)、SSDは512Gバイトを搭載している。
本体の利用スタイルはキーボードモードでACアダプタを接続し、Windows 8の電源プランは「バランス」に固定した。この状態で「VAIOの設定」から「本体の冷却とパフォーマンス」の設定を切り替え、テスト結果の変化をチェックしている。テスト時の室温は22度だ。テスト結果は以下のグラフに示した。
「標準」(17ワット)と「パフォーマンス優先」(25ワット)の違いはかなり微妙だった。PCMark 7やCINEBENCH R11.5ではまったくといっていいほど差が出ていない。しかし、3D描画系のテストでは、5%前後ほどと少しだが、すべてのテストで差が確認できた。この5%という上昇幅は、ソニーのコメントと一致する。
一方、「冷却優先」(14ワット)の設定では、かなりはっきりと性能が落ち込んだ。PCMark 7ではあまり目立たないものの、「標準」(17ワット)に比べて、CINEBENCH R11.5(CPU)では約1割、3DMark系のテストでは最大で3割程度スコアが下がっている。
電力推移が示すTDPによるTurbo Boost 2.0の効き具合
パフォーマンスとともに、消費電力の差も測定してみた。CPU/内蔵GPUが高クロックで動作すれば、当然ながら消費電力も上がる。逆に動作クロックが下がれば、消費電力も下がる。TDP別のTurbo Boost 2.0の振る舞いを確認するには、消費電力の推移を追うことが一番ではないかと考えたためだ。
消費電力の計測にはElectronic Educational Devicesのワットチェッカー「Watts Up? PRO」を使い、3DMark Vantage(Entry)の実行開始から500秒後(標準設定では420秒程度で終了し、その後アイドル状態に入る)までのログを取得し、その推移を比較してみた。計測値はCPUだけでなく、システム全体の消費電力となっている。
消費電力の平均値と最大値は下表にまとめたが、別途掲載した電力推移の折れ線グラフを見ると、cTDPおよびTurbo Boost 2.0の特徴がよく出ている。縦軸がシステム全体の消費電力、横軸が経過した時間(秒単位)だ。
3DMark Vantage(Entry)実行時におけるシステム全体の消費電力 | |||
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設定 | 冷却優先(TDP Down 14ワット) | 標準(TDP 17ワット) | パフォーマンス優先(TDP Up 25ワット) |
平均消費電力(開始から500秒後まで) | 26.9ワット | 28.2ワット | 29.9ワット |
最大消費電力 | 35.3ワット | 35.6ワット | 40.5ワット |
最初のシステム情報取得時やロード中はどの設定もほとんど同じ消費電力だが、開始後50秒くらいからゲームシーンの描画フェーズに入ると「パフォーマンス優先」は「標準」よりも5ワットほど電力を多く消費し続ける。「冷却優先」は80秒程度まで「標準」と同じだが、その後は5ワットほど下がったままだ。その80秒のところでTDP 14ワットでは「安全でない」と判断され、動作クロックが下がったのだろう。その後に続くゲームシーンの描画でも同じように消費電力の違いが見られる。
330秒あたりから420秒あたりまでの山は、CPUに負荷をかける物理演算フェーズだが、「パフォーマンス優先」と「標準」はあまり変わらず、CPUクロックのターボ具合は共通であることが分かる。そして、これらが水平に近い推移なのに対し、「冷却優先」のみは電力が一度上がった後で徐々に下がっている。
なお、「冷却優先」だけ位相が少しずつ右側にズレているが、これは動作クロックが下がって処理性能が低下したため、処理1つ1つに時間がかかっているためだろう。
さて、これらのテスト結果から何が分かるだろうか?
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