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AMDが次世代APUを発表、タブレットや薄型ノートPC向けに省電力化を加速第2世代の省電力CPUコア“Jaguar”でIntelを追撃(2/2 ページ)

AMDは“Temash”と“Kabini”の開発コード名呼ぶ省電力APUを、新しいAMD Aシリーズの下位モデルとして追加。また、上位モデルでは現行のAMD Aシリーズで採用するTrinityコアの改良版となる“Richland”に移行することで、パフォーマンスアップを図る。

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メインストリーム向けのAMD A6/A4シリーズ

 一方、メインストリーム市場向けのAPUとされる“Kabini”(カビニ)は、半導体そのものはTemashと共通だが、TDPを引き上げることで、より高クロックで動作するようにしている。同社は、このKabiniの4コア製品をAMD A6またはAMD A4として、2コア製品をAMD Eシリーズとして展開する計画だ。そのラインアップは下の図版とおり、Kabiniの最上位モデルとなるAMD A6-5200では、CPUクロックが2GHz、グラフィックスクロックが600MHzと、Temashからは大幅なクロックアップが図られている。

Kabiniベースの新しいメインストリーム向けAPUの特徴(画面=左)。KabiniベースAPUのラインアップ(画面=右)

 レンシング氏は、「Kabiniは消費電力あたりのパフォーマンスに優れた製品」と位置付け、現行のTrinityの低消費電力版に比べても3D性能(3DMark 11)で66%、プロダクティビティ性能(PCMark 7)でも42%の“電力効率”を発揮するというベンチマーク結果を披露した。

 ただし、この値は、TDP 22ワットのTrinityコアベースのAMD A4-4355Mと、TDP 15ワットのKabiniコアベースのAMD A4-5000を比較したもので、素のプロダクティビティ性能(ベンチマークスコア)では若干劣るが、グラフィックス性能は大幅な性能アップを実現していると見てよさそうだ。

KabiniベースAPUの電力効率比較(画面=左)。従来のエントリープラットフォームであるBrazos 2.0と比較しても、大幅な省電力化を実現するKabiniプラットフォーム(画面=右)

競合となるIntel製品とのパフォーマンス比較と製品のポジショニング

グラフィックスコアによるアクセラレーションに対応した写真編集ソフト「Musemage」による比較では、Pentium 2117Uが100.44秒かかった処理を、AMD A4-5000では半分以下の48.74秒で処理ができるとアピール

ゲームやレンダリング、ビデオ編集でも大きな性能差があると主張する

RichlandをAMD A10/A8シリーズで展開

 AMDはさらに、AMD Aシリーズの上位モデルを、Trinityの改良版となるRichlandコアベースへと移行することで、さらなるパフォーマンスアップを図る。同社はRichlandコアベースの製品を、AMD A10と同A8として展開するとともに、ジェスチャー認識によるユーザーインタフェース機能や、顔認証によるログイン機能などを盛り込む。

 Richlandは、半導体そのものは現行のAMD AシリーズであるTrinityと共通だが、パワーマネージメント機能の見直しなどを図ることで省電力性を向上させたほか、半導体製造プロセスの成熟度が上がったこともあり、高クロック化が果たされている。また、メモリもDDR3-1866のサポートが追加され、高解像度表示の際のグラフィックス性能向上に役立っている。

Richlandベースの新APUの特徴(画面=左)。RichlandベースAPUのランナップと製品のポジショニング(画面=中央/右)

Richlandではパワーマネジメント機能が強化され、省電力性能が向上したほか、DDR3-1866対応などの機能強化も図られた(画面=左)。Richlandと現行Trinityコアの消費電力比較。同じ半導体設計ながら、Richlandのほうが省電力性が向上していることが分かる(画面=中央/右)

 Richlandに統合されているグラフィックスコアは、TemashやKabiniで採用されたGCNより1世代古い、VLIW4世代となるが、それでも「グラフィックス性能におけるパフォーマンス差は歴然だ」(レンシング氏)としてデモを披露。SIMCITYなど最新ゲームタイトルでもストレスなくプレイできるうえ、ゲームプレイ中に一部のオブジェクトが描画されないなどのトラブルもないと、そのアドバンテージを強調した。

Intel Core i5-3210MとAMD A10-5750Mの最新ゲームタイトルの比較。AMD APUであれば、内蔵グラフィックスでもスムーズなゲームプレイができるとアピール(画面=左/中央)。Intel内蔵グラフィックスでは、ゲーム描画が崩れて地面に大穴が空くこともあると説明(画面=右)

競合となるIntel CPUとのパフォーマンス比較

デュアルグラフィックス対応も、AMD APUの強み(画面=左)。各AMD APUのユーザー体験別住み分け。A8はPCのアドバンテージでもある生産性と、ナチュラルユーザーインタフェース対応をウリとし、AMD A10は、さらゲームプレイも楽しめるモバイルAPUという位置付けだ(画面=右)

 また、同社は“Lightning bolt”(ライトニング・ボルト)のコード名で開発されてきた、Display Port 1.2とUSB 3.0をシングルポートでサポートするThunderboltの対抗規格「Dock Port」や、描画遅延の少ないワイヤレスディスプレイ技術「AMD Wireless Display」を正式に発表した。

Lightning boltとして開発されてきた、Thunderbolt対抗のシングルポートの拡張インタフェースも「Dock Port」として正式発表された

Temashを採用したAcerの「Aspire V5-122P」は、Dock Portもサポート

同社のDock PortはDsub 15ピンのディスプレイ出力とLANポート、USB 3.0ポートを備えていた

AMD独自のワイヤレスディスプレイ技術「AMD Wireless Display」は、描画遅延の少なさがウリ。年内に市場投入されるMicrosoftの次期OS、Windows 8.1(Windows Blue)で標準サポートされるという(画面=左)。AMD Wireless Display(左)とIntel WiDi(右)の遅延比較デモ。秒数の下のミリ秒の値をノートPCと、無線接続された後方のディスプレイで比較すると、AMD Wireless Displayでは67ミリ秒の遅延、Intel WiDiは167ミリ秒の遅延があることが分かる(写真=右)

 レンシング氏は、「今後のコンピューティングデバイスでは省電力性と優れた演算性能を両立するために、グラフィックスコアを利用したアクセラレーションや新しいアプリケーションが重要となる」と見ており、同社のAPUがそのトレンドを先取りしたものだと説明。同社は、これを受けてTemashなどのアーキテクチャ詳細や、グラフィックスコアを積極的に利用したOpen CLアプリケーションの現状などのアップデートも行なった。

 アーキテクチャの詳細は、別の記事で改めて解説する。

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