「iPadの値上げで“今”だと思った」――「Surface RT」を期間限定で1万円引きに:7月14日までの1カ月
マイクロソフトが「Surface RT」の値下げを実施すると発表した。夏商戦に合わせ、1カ月限定で1万円引きにする。5月下旬にアップルがiPadを値上げしたことを受け、値下げを決めたという。
「Surface RT」が3万円台で買えるように
日本マイクロソフトは6月13日、Windowsタブレット「Surface RT」を1万円値下げすると発表した。期間は2013年6月14日から2013年7月14日まで。期間終了後も値下げを続行する可能性については「もちろん可能性はあるが未定。お客様の反応を見て考える」(日本マイクロソフト代表執行役社長 樋口泰行氏)としている。
この値下げにより、Surface RTの32Gバイトモデルは3万9800円に、64Gバイトモデルは4万7800円(いずれも直販サイト“Microsoft Store”の価格、税込み)となる。薄型キーボードカバー「Touch Cover」とのセットモデルにも値下げは適用される。
Surface RTの価格改定 | ||
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製品 | 改定前 | 改定後(2013年7月14日まで) |
32Gバイトモデル | 4万9800円 | 3万9800円 |
64Gバイトモデル | 5万7800円 | 4万7800円 |
32Gバイトモデル+Touch Cover(ブラック) | 5万7800円 | 4万7800円 |
64Gバイトモデル+Touch Cover(ブラック) | 6万5800円 | 5万5800円 |
Surface RTはARM版のWindows 8である「Windows RT」を搭載したタブレット。1366×768ドット表示の10.6型ワイド液晶ディスプレイ(IPS方式/5点マルチタッチ対応)を搭載し、CPUはNVIDIA Tegra 3、メモリ容量が2Gバイト、ストレージはが32GバイトSSDもしくは64GバイトSSDとなる。利用可能なアプリは、Windows RT対応のWindowsストアアプリに限られるが、Office 2013 RT(Word、Excel、PowerPoint、OneNote)をプリインストールしている。同製品は2013年3月15日に発売。発売から約3ヶ月での値下げとなった。
値下げは“チャレンジャー”としての戦略
国内主要メーカーが円安の影響でPCの価格を上げるなか、1万円の値下げに踏み切った日本マイクロソフト。この施策は夏のボーナス商戦に合わせた日本独自のものだという。
記者会見では、同社代表執行役社長の樋口泰行氏が値下げの背景について「Surface RTの売り上げは我々の予想より上回っており好調だ。日本は諸外国と比べてもSurface RTの販売数は多い。しかし、タブレットでは後発である我々はチャレンジャーの立場だ。チャレンジャーにはチャレンジャーの戦略がある。値下げにより多くの人にSurface RTの魅力を広めていきたい」と述べた。
同社はSurface RTの販売台数を公表していないが、樋口氏は「通常ガジェット系の製品は発売直後に売り上げが伸び、その後減っていく傾向にあるが、Surface RTは発売して3カ月が経った今でも売り上げはさほど落ち込んでいない。これはSurface RTを使ったユーザーが製品の魅力に気付き、その価値を広めてくれているからだろう」とアピール。多くの家電量販店でSurface RT(とSurface Pro)が広いスペースで陳列されていることも、好調である証拠だとする。樋口氏はSurface Proについても「予約期間がSurface RTの半分であるにも関わらず、売り上げは2倍以上だった」と売れ行きのよさをアピールした。
iPadの値上げを受け、急きょ値下げを決定
値下げの決め手となったのは、2013年5月末にアップルが行ったiPadの価格改定だという。「iPad mini」や「iPad Retinaディスプレイモデル」が4000円から1万3000円値上げしたことを受け、キャンペーンで攻勢をかけようと決断した。
樋口氏は「為替レートによって値段が上下するのは、あまりユーザーにとって受け入れられない変化なのではないか」と指摘。その上で「今後はWindows 8.1の提供もある。あくまでユーザーの利益になるような施策を実施していく」とアピールした。
現在のところ、Surface Proの値下げは考えていないという。あくまでSurface RTをiPadのライバルとして拡販したい考えだ。「予想より売り上げはいいものの、社運をかけたデバイスと考えればまだまだ。このキャンペーンによって今の2倍、3倍と売っていきたい」(樋口氏)。同氏はSurface Proの発表会でも「ライバルに勝つことを考えればSurface RTが売れてほしい」と述べていた。
発表会のプレゼンではiPadとの価格差を強調するなど、これまでになくアップルに対抗する姿勢を強く打ち出した。キャンペーンの特設ページでも“iPad miniより安い”というキャッチを全面に押し出している。樋口氏は「あくまでも競合はiPad。タブレットでもOfficeが使えコンテンツ作成に対応するという、新たな価値を提案することが大事。もちろんWindows RTやWindows 8の普及にもつながること」と強調した。
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