「Venue 11 Pro」――Core i5搭載でSurface Pro 2より安いWindowsタブレットを試す(ベンチマークテスト編):注目タブレット速攻レビュー(3/3 ページ)
デルの「Venue 11 Pro」は、幅広いCPUやオプションが選択でき、ビジネスからホームユースまで対応できる10.8型Windows 8.1タブレットだ。今回はCore i5搭載モデルの性能をチェックする。
実力テスト(2):Haswell搭載タブレットで気になる駆動時間や発熱は?
バッテリー駆動時間のテスト
Webブラウズとテキスト入力を想定したBBench 1.01によるバッテリー駆動時間の計測についても、電源プラン「Dell」と「バランス」の両方で行なった。液晶ディスプレイの輝度はどちらも40%固定だ。
テスト結果は電源プランで差が出ており、バッテリー満充電から残量5分で休止状態に入るまでに、「Dell」で6時間10分、「バランス」では6時間45分駆動した。
テスト条件が異なる公称値の約10時間には及ばないものの、Core i5搭載タブレットとして実用十分な駆動時間だろう。
動作音/発熱テスト
動作時の騒音も電源プランによってかなり異なる。「Dell」はシステムへの負荷にかなり敏感で、比較的低い負荷でも1〜2秒だがファンを回転させることがあり、高負荷時はかなり大きな音がした。一方、「バランス」では低負荷時はほぼ無音、高負荷時でもかなり抑えられた音だ。
ボディの発熱については、排気口のある上部を中心に高めの熱を帯びるが、通常の利用スタイルではその部分を持つことはないと思われる。
ベンチマークテストの概要(2)
- バッテリー駆動時間テスト
- BBench 1.01
※電源プラン「Dell」もしくは「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン+NFCオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測
- 騒音テスト
- 騒音計で実測(本体から手前5センチ、暗騒音32デシベル、室温18度)
- 発熱テスト
- 放射温度計でボディ表面温度を実測(室温18度)
パフォーマンス志向のタブレットとして魅力的な選択肢
最後に、CINEBENCH R11.5、PCMark 7、3DMark/Cloud Gateの3つのスコア(電源プラン:Dell)について、「VAIO Fit 13A(2013秋冬/店頭モデル)」のスコアを100とした場合の相対値を算出してみた。VAIO Fit 13AはCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)を搭載し、主力クラスのUltrabook/2in1として標準的なスペックを持つ製品だけに、Venue 11 Proのパフォーマンスを把握しやすいだろう。
また、Atom Z3770(1.46GHz/最大2.39GHz)を搭載した富士通の「ARROWS Tab QH55/M」の値も加えている。こちらは防水仕様と高精細液晶が特徴の10.1型Windows 8.1タブレットだ。
VAIO Fit 13Aのスコアを「100」とした場合の相対的な性能 | |||||
---|---|---|---|---|---|
製品名 | Venue 11 Pro | XPS 11 | VAIO Tap 11 店頭モデル(SVT11218DJB) | ARROWS Tab QH55/M | VAIO Fit 13A 店頭モデル(SVF13N19DJS) |
CINEBENCH R11.5/CPU | 72 | 77 | 64 | 57 | 100 |
PCMark 7 | 86 | 90 | 82 | 47 | 100 |
3DMark/Cloud Gate | 72 | 80 | 65 | 33 | 100 |
CPUのスペック比較 | |||
---|---|---|---|
CPU名 | Core i5-4200U | Core i5-4210Y | Atom Z3770 |
開発コード名 | Haswell | Haswell | Bay Trail-T |
コア/スレッド数 | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド | 4コア/4スレッド |
CPU基本クロック | 1.6GHz | 1.5GHz | 1.46GHz |
CPU最大クロック | 2.6GHz | 1.9GHz | 2.39GHz |
キャッシュ容量 | 3Mバイト(3次) | 3Mバイト(3次) | 2Mバイト(2次) |
チップセット | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 4200 | Intel HD Graphics |
GPU実行ユニット数 | 20基 | 20基 | 4基 |
GPUクロック | 200〜1000MHz | 200〜850MHz | 331〜667MHz |
TDP | 15ワット | 11.5ワット | − |
SDP | − | 6ワット | 2ワット |
算出した相対値を見ると、同じCPUを搭載するXPS 11に対しては少し劣るものの、XPS 11は約1.13キロの2in1 Ultrabookなので、熱設計の余裕に差があるのは仕方がない。9.9ミリ厚で約780グラムと薄型軽量なタブレットのVAIO Tap 11に対しては、サイズが大きくなるぶん、性能面ではっきりとしたアドバンテージがあることも分かる。
もちろん、Atom搭載タブレットに対しての優位も大きい。特に3D描画性能の差は決定的だ。クリエイティブアプリや3D描画でUltrabookの主力機(VAIO Fit 13A)の7割強に相当するパフォーマンスというのは、(第4世代Core搭載機全体として見ると、控えめな性能とはいえ)第4世代Core Yシリーズ搭載機では健闘していると評価したい。
以上、今回のテストでVenue 11 Pro(Core i5モデル)が改めて、Windows 8.1タブレットとして高いレベルのパフォーマンスを備えていることが実証された。デルの直販価格は5万9980円(税込)から、ハイスペックな評価機の構成でも8万9980円(税込)と、コストパフォーマンスは高い。タブレットにもパワフルな処理性能や拡張性が欲しいユーザーにとって、大いに魅力的な選択肢といえる。
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