USB Type-CとThunderbolt 3の“紛らわしい関係”をIDF 2015で整理する:「USB PD」の詳細は? (3/3 ページ)
MacBookから始まって最新マザーボードでも採用が進む“Type-C”だが、いまひとつ誤解も多い。IDF 2015で得た最新情報を給電規格「USB PD」とともに解説する。
Thunderbolt 3対応製品の登場は2015年末〜2016年前半
Thunderbolt 3のコネクタ規格がUSB Type-Cと共通化したが、一方でThunderbolt 3を使った通信では専用のケーブルを使う。USB Type-Cのケーブルを接続しても「USBとして通信」するだけだ。Thunderbolt 3は「Thunderbolt 3」にも「USB 3.1」にも兼用できるが、20〜40GbpsというThunderbolt 3本来の通信速度を利用するには「Thunderbolt 3専用のケーブル」と(対向に)「Thunderbolt 3対応デバイス」が必要になる。
Thunderbolt 3専用ケーブルには「Passive」と「Active」がある。Passiveのケーブルを用いた場合は最大20Gbps、Activeのケーブルを用いた場合は最大40Gbpsとなる。COMPUTEX TAIPEI 2015におけるThunderbolt 3に関するレポートでは、「Thunderbolt 3にUSB Type-Cのケーブルを接続するとPassive相当の通信になる」と解説していたが、IDFで実際に関係者に確認すると「PassiveについてもThunderbolt 3専用ケーブルが必要になる」とのことで、専用ケーブルを利用しない限りはあくまでUSB Type-Cと機能するだけで、有効長も最大2メートルと共通だ。PassiveとActiveのケーブルの違いは、純粋にコスト要因の部分が大きいとみられる。40Gbpsを必要とせず、比較的安価に機器同士を接続したい場合にはPassive、コスト的に余裕があればActiveといった具合だ。
実際の製品登場時期だが、IDFの展示ブースで関係者に確認した情報によれば、2015年第4四半期中にはPassiveケーブルが登場し、対応するPC、ならびに、対応周辺機器の第一波が年末シーズンまでにまとまったモデル数で登場することになるだろう。早ければ9〜10月に開催する技術関連や情報機器関連の展示会には製品を公開していることになるかもしれない。
一方でActiveケーブルは2016年第1四半期での登場を見込んでいる。IDF 2015の会場にはサンプルもなく、現在も開発中であることをうかがわせた。一部のストレージ製品などは2015年に登場するというものの、多くは2016年以降の出荷開始になるようだ。また、Thunderbolt 3は最大6台までのデバイス(含む本体)をデイジーチェーンで接続可能だが、もし(2×5=)10メートル以上の距離でデバイスを接続したい場合、最大60メートルの長さで40Gbpsの通信が可能な光ファイバーケーブルが2016年に提供する予定となっている。数多くのデバイスを接続して高速データ通信を行いたい場合は、このケーブルを使うことになるだろう。
つながないとどうなるか分からないUSB PD
IDF 2015で確認したUSB Type-CとThunderbolt 3の最新状況をまとめていくと、MacBookなどで採用するなど、すでに一部の製品は2015年をターゲットに市場に投入しているものの、実際に製品が多数登場してユーザーの選択肢が増えるのは2016年以降になる。
USB Type-Cについては対応製品の数がまだ少ないほか、USB PDの実装で未知の部分が多く、2016年以降も手探りを続けながら製品を開発することになると考える。例えば、USB PD 2.0では供給電力に応じて5段階のプロファイルを定義しているが、すべての給電可能なデバイス(「Provider」と呼ぶ)が最大100ワットの「Profile 5」の規格を満たしているとは限らず、電気を受け取る側のデバイス(「Consumer」と呼ぶ)が駆動や充電にあたってどの程度の電力を必要としているのか不明な場合、実際に両者を接続して正しく(想定した)通電を行うのかは実際に試してみないと分からない。実際にUSB PD対応デバイスの商品化にあたって、このあたりの表記や通電中のステータスを確認する手段が気になるところだ。
いずれにせよ、あと数カ月もすれば対応製品が市場に登場し、2016年の夏にはUSB Type-Cはごく当たり前のものになっているはずだ。利用して分かる問題の洗い出しも行われ、初期のころから比べれば使いやすい技術になっているだろう。
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