「Office 2016」はユーザーのビジネスだけでなく、Microsoftのビジネスモデルも変えていく:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
Microsoftはオフィススイート最新版「Office 2016」の提供を開始した。いわゆるデスクトップ向けOfficeの最新版だが、サブスクリプションサービス「Office 365」の利用が前提となっており、単独販売は徐々に減っていくとみられる。
ビジネスモデルの移行でMicrosoftは変わりつつある
MicrosoftがOfficeのサブスクリプション化を推進している様子は、Windows以外のプラットフォームで顕著だ。
同社はiOSやAndroid向けのOfficeアプリを無料で提供しているが、前述のようにこれらはOneDrive(SharePoint)などのサービスやOffice 365と組み合わせるのが前提となっている。これは、PC市場が横ばいまたは減少傾向にある中、Officeの対応プラットフォーム拡大による新規需要開拓の収益源をサブスクリプションに求めていることを意味する。
先日9月9日(米国時間)に行われた「iPhone 6s」発表のAppleスペシャルイベントにおいて、「iPad Pro」を紹介するステージに米MicrosoftコーポレートVPでOffice部門担当のKirk Koenigsbauer氏が登場し、Apple Pencilと組み合わせてOfficeアプリをデモンストレーションして話題になった。
AppleのイベントにMicrosoft関係者が登場すること自体は不思議ではないが、Microsoftが注力する自社製品の「Surface Pro」を使って一般ユーザーにアピールしてきたことを、ライバル製品のiPad Proでも「Officeを使って効率的な作業ができる」と大々的に発表したわけで、これは非常に象徴的な出来事と言える。つまり今のMicrosoftにとっては、「少しでも多くのユーザーにサービスを使ってもらうこと」こそが重要なのだ。
新事業の成果が出てくるのにはもう少しだけ時間がかかるだろうが、Microsoftの新製品群に触れてみると、こうした同社の変化を確かに感じることができる。
関連キーワード
Office | Microsoft | Office 365 | Office 2016 | Windows 10 | Office Mobile | iPad Pro | 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
関連記事
- 「Windows 10」大特集
- 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:無料で便利な「iOS/Android版Outlook」を使ってみた
Windowsの枠組みを超えて、Officeアプリ/サービスの拡充を図るMicrosoft。同社が公開したiOS/Android向け「Outlook」アプリは、無料で便利に使える注目アプリだ。実際にインストールして試してみた。「Universal Office」アプリについても紹介する。 - 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Office for iPad」はどこまで使える?――iPhone版、Android版もまとめてチェック
iPad活用の幅をさらに広げる「Office for iPad」がようやく日本でも解禁された。無料でOffice文書の閲覧や編集が行えることに加えて、Office 365のユーザーはプレミアムな編集機能も利用できる。ただし、PC版のOfficeと機能差がある点は覚えておきたい。 - 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「攻め」に転じたMicrosoftは何を目指すのか?――無料Officeアプリ強化、容量無制限OneDrive、Dropbox連携
Office 365ユーザーを対象にしたOneDriveの容量無制限化、Dropboxとの連携、.NETオープンソース化、そしてエンタープライズ市場でのさまざまな戦略的提携など、新CEOのもと派手な動きが目立ってきたMicrosoftの動向を追う - 鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1 Update」:日本での個人向け提供も決まった「Office 365」、今後はどう進化するのか?
2014年内に個人向けにも提供されることが明らかになったMicrosoftのクラウド型Officeサービス「Office 365」。そのロードマップが公開されたので、注目の新機能を一足先にチェックしていこう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.