店舗やイベント会場でデジタルサイネージを手軽に実現できる「おもいでばこ」で、抑えておきたい3つのポイント(後編):使いこなすコツを伝授(3/3 ページ)
バッファローの「おもいでばこ」に、店舗などでデジタルサイネージとして使えるセットが登場した。後編では、“おもいでばこ”をデジタルサイネージとして活用するためのTipsや、他のソリューションと比べた場合の違いについて詳しく見ていこう。
デジタルサイネージとしての“おもいでばこ”ができること、できないこと
以上、実際にざっと使ってみたわけだが、デジタルサイネージを実現する機器としては手頃な製品である一方、機器の特性ゆえの制限も存在している。デジタルサイネージとしての“おもいでばこ”で何ができて何ができないのかを知っておくのは、製品の適切な選定および使いこなしには欠かせないと考えられるので、筆者なりにポイントだと思われる2つの特徴を紹介して本稿の締めとしよう。
まず、本製品で表示する情報はテキストも含めて全て画像化しなくてはいけないことは、他のデジタルサイネージ機器と比べた場合の特徴でもあり制限でもある。一般的なデジタルサイネージは、バックグラウンドに専用ソフトウェアがインストールされたPCがあり、テキストや画像、さらには動画などを差し替えられるようになっていることが多い。画面を丸ごと書き換えるだけでなく、画面をいくつかのエリアに分け、個別に書き換えることも可能だ。画面上段や下段に、横スクロールでテキストのニュースを流せる電光掲示板などを想像してもらうと分かりやすいだろう。
その点、本製品は全ての情報を画像化し、スライドショー機能で再生するという使い方が主になる。ソフトウェアをインストールしたPCを用意しなくて済む反面、1枚で完結する画像をあらかじめ用意しておく必要があり、それゆえ即時性の高い情報を流すといった用途には向かない。少なくとも営業中に差し替えるのは難しいだろう。また画面の一部だけを差し替える機能はなく、画面全体が書き替わる仕組みなので、ヘッダやフッタなど共通のパーツがあるのなら、全ての画像にそれらを含める必要がある。
画像の作成や編集を外部のソフトウェアで行うのも、メリットでもありデメリットでもある。写真とテキストを組み合わせて1枚の画像を作成できるソフトとしては、身近なところだとPowerPointやIllustrator、あるいは本製品の特設サイトで案内されているiPad用POP作成アプリ「POPKIT」や「セカイPOP」などが挙げられるが、フォントの種類やサイズといった制限もなく自由に画像が作成できる反面、かえって自由度が高すぎて戸惑うこともある。
どのソフトを使って画像を作成したり更新したりするか、ベストな解決策をいかに早く見つけられるかは、本製品を使いこなす上でのポイントになる。もちろん、スマホやデジカメでただ撮った写真を無加工で再生するだけならこうした悩みは不要だが、全画面表示の画像をスライドショーで見せるという特性上、画像の作り込み一つで見た目のクオリティが大きく変わってくるだけに、できればこだわりたい部分ではある。
もう一つ、これは運用の部分だがUSBメモリやメモリカード内の画像をそのまま表示することができず、必ず本体に画像をコピーしなくてはいけない点も、特徴といえば特徴だ。本製品に近い機能を持った製品の中には、本体に記憶領域を持たず、USBメモリ内のデータを直接読み取って再生する機器もあるが、本製品ではUSBメモリやメモリカードに保存した画像を必ずいったん本体にコピーし、それらを読み込むことになる。
本体へのコピーが必要ということは、使い始めるにあたってそれだけの手間がかかることを意味する。とくに画像の入れ替えが頻繁に発生する場合は、リモコン操作で古い画像を消し、あらためてUSBメモリなどから画像を取り込み、さらにアルバムに登録する……という手間が毎回発生する。
本製品はアプリを使ってネットワーク経由で画像を取り込む方法なども用意されているが、あまりにも入れ替えの頻度が高い使い方は、やや煩わしく感じられることもあるはずだ。
この特徴は、使い方によってはメリットにも転じうる。例えば店頭に複数台の本製品が設置されている場合、マスターデータとなるUSBメモリまたはメモリカードを用意しておくことで、1台ずつ順番に書き換えて回ることが可能になる。本製品1台に対して1本の割合でUSBメモリを用意しなくて済むためコストも軽減されるほか、店頭でUSBメモリを抜かれて持ち去られる危険もなくなる。USBメモリから直接読み込んでスライドショーを再生する方式に比べ、こちらのほうが便利と感じる人もいるだろう。
いずれにせよ、特性を理解して使えば、ローコストでのデジタルサイネージ構築にぴったりで、即戦力となってくれる製品であることは間違いない。本稿で紹介した機能や特徴は、本製品と長く付き合うにはいずれも欠かせないものであり、製品選定および使い始めにあたってぜひ参考にしてほしいと思う。
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