Windows 10開発プレビュー版に見え隠れするMicrosoftの新プロジェクト:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
2017年の年明けから更新が続く「Windows 10 Insider Preview」だが、水面下ではMicrosoftの新プロジェクトが動き出しているようだ。
電子書籍の読み上げ機能も搭載
前回のBuild 15014では電子書籍ストア機能が加わり、2016年末のアップデートで搭載されたEdgeブラウザでのEPUB表示機能と合わせて、電子書籍のWebブラウザでの閲覧に対応した。
Build 15019ではさらに「読み上げ機能」がサポートされ、オーディオブック的な使い方が可能になった。EPUBファイル表示時にEdgeブラウザ右上にある本とスピーカーが一体化したようなマークのアイコンをクリックすると、読み上げ機能が動作する。
なお、読み上げ対応はMicrosoftの電子書籍ストアだけでなく、汎用(はんよう)的なEPUBファイルでも問題ない。日本語にも対応している。
細かい部分だが、直近のビルドで追加されたブルーライトの低減表示機能である「Blue Light」設定の名称は「Night Light」に変更された。
設定アプリの「更新とセキュリティ」では、「トラブルシューティング」の項目がカテゴリー別に整理され、目的の項目へとたどり着きやすいよう改良された。
機能面ではHyper-Vの動作が拡張され、Hyper-Vで動作しているゲストマシンのウィンドウをドラッグでサイズ変更すると、そのホストマシンの解像度も自動的に調整されるようになっている。
Windows 10 Cloudの鼓動
Build 15019ではもう1点、気になる話題がある。前回も紹介したクラウド版Windows 10である「Windows 10 Cloud」に関する記述が同ビルド内に含まれていると、Windowsの最新事情に詳しいブラッド・サムス氏がPetriで報告しているのだ。
サードパーティーが配布しているProduct Key Configuration Readerというツールを使ったところ、Build 15019内に「Windows 10 RTM Cloud OEM」「Windows 10 RTM Cloud Retail」「Windows 10 RTM CloudN OEM」の表記が見つかったという。
「OEM」は通常の市販PCなどにプリインストールで配布される形態、「Retail」はMicrosoftが販売する通常のパッケージ版またはダウンロード版、そして「CloudN」は欧州などで販売されているWebブラウザを除外した「N」バージョンだ。
ここから読み取れるのは、Windows 10 Cloudという新しいSKU(いわゆるWindows OSのエディション)が存在している可能性と、それがOEM経由だけでなく通常版としてもMicrosoftから提供されるという話だ。前回は「軽量版Windowsの“Cloud Shell”」のように紹介したが、Windows 10の派生バージョンの一つとして準備が進んでいる可能性がある。
これまでの経緯から考えて、Windows 10 Creators Updateが提供される2017年3〜4月時点では、まだWindows 10 Cloudは発表されないだろう。前述のBuild 2017に合わせた5月のタイミングで、概要を含めて開発者とOEM向けに発表され、実際の製品投入は夏以降というロードマップになると筆者は予想する。
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