「Surfaceはおすすめしない」 Consumer Reportsの格付けに思うこと:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
米国で影響力がある情報誌のConsumer Reportsが、「Surface」シリーズを「おすすめしない」と評価。Microsoftはこれに反論し、注目を集めている。
「Surface Plus」と「Surface as a Service」の価値
その意味で興味深いと感じたのが、米Microsoftが提供している「Surface Plus」ならびに「Surface as a Service」という仕組みだ。
コンシューマーにおけるSurface Plusは「デバイス購入補助プログラム」だ。米Microsoftが2017年8月に始めたもので、Surfaceシリーズのデバイスを年利(APR)0%の24カ月分割払いで購入できる。支払い額はSurface Proが月額34ドル(Core m3選択時)から、Surface Laptopが月額42ドルから、Surface Bookが月額63ドルから。
さらに支払いが18カ月に達した時点で、使用中のSurfaceが完全に動作する状態であるなどの条件を満たしていれば、最新のSurfaceデバイスへアップグレードできるのも特徴だ(元のデバイスは返却)。
ビジネス向けのSurface Plus(Surface Plus for Business)は中小企業を対象とした購入補助ならびにOffice 365(およびMicrosoft 365)の販促ツールとなっている。
規模の大きい組織を対象としたエンタープライズ向けには「Surface as a Service」のプログラムが提供されており、より手厚いサポートが期待できる。もともとは2015年9月に米Dellとの協業でスタートした「Surface Enterprise Initiative」に端を発するもので、企業ユーザーでいかにSurfaceを使って業務改革(「デジタルトランスフォーメーション」という表現が使われている)を実現していくかという目的がある。
Surface Enterprise Initiativeは、サードパーティーであるOEMメーカーにファーストパーティーであるMicrosoftのSurfaceを販売してもらう単なる再販プログラムのようにも考えられているが、実際にはPC単体ではなくエンタープライズ市場で求められるサポート込みでのサービス体制を整えていくことが主眼であり、パートナーネットワークでビジネスを拡大してきたMicrosoftらしい仕組みだ。
つまり、SurfaceはOSなどのソフトウェア製品と同様の商材の1つでしかなく、本当の商品はパートナーによってSurfaceとともに提供されるサービスということになる。
このDellとの協業の過程で学んだエンタープライズ向けのサービスを次のステップに昇華させたのがSurface as a Serviceとなる。2016年9月に発表された同プログラムは、もともとALSOという欧州のCloud Solution Providers(CSP)との提携によりドイツで展開されていたものを世界向けに拡大したものだ。
Surface as a Serviceでは、SurfaceをWindows 10やOffice 365といった各種ソフトウェアの他、マネージドサービスという管理ソリューション込みで提供していく。エンドユーザーには必要なアプリケーションや管理サービスがそろった状態でSurfaceが提供されるため、セットアップ等に時間を要することなく、すぐに業務を開始できるというメリットがある。
またSurface as a Serviceの特徴として、顧客のニーズに応じてさまざまなPCの配送オプションを選択できる他、故障時に当日または1〜2日でオンサイトでの代替PCへの交換が可能なリプレイスサービスもメニューとして用意されており、「ダウンタイムを減らしてエンドユーザーには可能な限り業務に集中してもらう」環境が得られる。
言うまでもなく、企業において重要なのはPCそのものではなく、PCで実現される作業環境の方であり、これをサポート体制で高めようというのがプログラムの狙いだ。
コンシューマーとエンタープライズでは求めるものへのニーズは当然異なっているが、少なくともPCの評価において重要なのは「PC単体ではなく周辺サービスやユーザー体験全体」であり、仮に故障率が他製品と比較して多少高くても、アフターサポートを通じて満足のゆく体験を得られるのであれば、そのハードウェアとメーカーに対する評価はかなり良好になると考えられる。
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