「Office 2019」は2018年後半に提供 Microsoftのビジネスツールはどう進化する?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
Office 2019とOffice 365の関係、強化されるOneDrive、コミュニケーションツール多すぎ問題の対応など、Microsoftのビジネスソフトウェア動向を整理する。
TeamsにSkype for Businessの機能を統合
Microsoftがエンタープライズ向けサービスやソフトウェアの名称を頻繁に変更するのは今に始まった話ではないが、次は「Skype for Business」が対象になるようだ。クラウドサービスのOffice 365をベースとしたグループチャットツールの「Teams」にSkype for Businessの機能を統合し、最終的にはTeamsの名称でリブランディングするという。
Skype for Businessはもともと「Office Communicator」の名称でクライアントソフトウェアが提供されており、2011年にクライアントとサーバ製品ともに「Lync」の名称でリブランディングが行われた。2014年にMicrosoftによるSkype買収を経て名称がSkype for Businessとなっている。
Lync以前の製品は企業向けのコミュニケーション製品であり、チャットや音声通話の他、リモートデスクトップや遠隔ミーティング機能などが実装されている点が特徴で、専用のビデオカンファレンス機器の実装なしにPCだけで手軽に遠隔地とのやりとりが可能な点で人気がある製品だ。
コンシューマー向けではSkypeのブランドが比較的知られていることもあり、著名なブランドに寄せる形で名称を変更したのがSkype for Businessで、機能的にはLync時代から大きな変化はない。
Skype for BusinessがTeamsの名称でリブランディングされるという話は9月初旬ごろから話題に上っており、実際にMicrosoftが誤って名称変更の宣伝メッセージを一般ユーザーに公開してしまう事件があった。
その後、実際にSkype for Businessを利用するユーザー企業に向け、2018年9月7日までにTeamsへの移行を完了するよう通達があったことが分かり、どのような形で移行が行われるのかに注目が集まっていた。
米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏は、TeamsとSkype for Businessには機能的な差異もあり、一気に移行を促すと混乱が生じるため、準備ができたユーザーから段階的に移行を行っていくのではないかと予想していた。
現在のところ、まず移行の第1ステップとしてPSTNを使った音声電話での送受信を可能にする機能がTeams側に実装され、このような形でTeamsの機能をアドイン形式で拡張していくことで順次移行を促していく戦略のようだ。
移行を促す意図はリブランディングというだけでなく、Skype for Business自体が旧式のLyncプラットフォームで動作していることを受け、よりモダンなTeamsのインフラに置き換えていく狙いもあるという。
コミュニケーションツール多すぎ問題をどう整理する?
筆者も気になる部分だが、「Microsoftにはざっと挙げただけで、Skype、Skype for Business(Lync)、SharePoint、Outlook、Yammer、Teamsといった具合に多くのコミュニケーション製品があって相関が分かりにくい」と思っている方は少なくないだろう。
Igniteのセッションではこのコミュニケーション製品の位置付けについて整理した情報が公開されており、個々の役割が明確となっている。コンシューマー向けのSkypeを除けば、SharePointを中核のリポジトリとして、Outlookが電子メール、Yammerが外部向けコミュニケーション、Teamsが内部向けコミュニケーションという形で区分けされ、Skype for BusinessはこのうちのTeamsへと包含されていくことになる。
これがOffice 365を中心としたMicrosoftのコミュニケーション戦略であり、当面はビジネス向けにこの4製品が展開されていく。
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