「Windows 10 S」は仕事マシンのOSとして無視できない存在に:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
当初は文教向けに機能制限したOSという位置付けだった「Windows 10 S」だが、ビジネス用途でかなり広がりを見せてきた。
Microsoft 365とWindows 10 Sの関係
Windows 10 Sと並んで、IgniteでMicrosoftがアピールしたのが「Microsoft 365」だ。7月開催のInspireで発表されたMicrosoft 365だが、その中身は簡単に言えば「Windows 10」+「Office 365」+「管理スイート(Enterprise Mobility + Security)」の3つをクラウドサービスとしてサブスクリプション形式で提供するものだ。
この仕組みは大規模なエンタープライズ向けに、以前から「Secure Productive Enterprise」の名称で提供されていたものだ(「Microsoft 365 Enterprise」に名称が変更されている)。Inspireで発表されたMicrosoft 365の新たな主たるターゲットは、中小企業向けの「Microsoft 365 Business」となる。
これはMicrosoftのクラウドソリューションプロバイダー(CSP)経由で販売されることになるが、パートナーカンファレンスであるInspireでMicrosoft 365が発表された意図がここにある(Inspireは以前「Worldwide Partner Conference」という名称だった)。
InspireではMicrosoft 365の新バージョンとして、「Microsoft 365 F1」と「Microsoft 365 Education」の2つが発表された。それぞれ「Firstline Workers」と「Education(文教)」をかたどったものだ。
既存のMicrosoft 365との違いは主にOffice 365の部分にあり、Microsoft 365 F1は機能を絞った「Office 365 F1」に、Microsoft 365 Educationは文教向けの「Office 365 Education」にそれぞれひも付けられている。より安価で最適化された製品と管理サービスを多くのユーザーに提供していこうという措置だ。
またWindows 10 Sは、Office 365やMicrosoft 365といったクラウド経由の管理ソリューションと相性がいい。オンプレミスでの利用には制限があるが、クラウドを介した一括管理ソリューションでは問題なく利用できるため、MicrosoftがFrontline Workersと呼ぶユーザーに適用させやすい。
Windows 10 Enterprise in S modeのライセンス価格が不明なので予測も含めての言及となるが、Windows 10 ProやWindows 10 Enterpriseといった“フルタイプ”のエディションと比較してもOSライセンス価格が安く、さらにセキュリティや管理面でのメリットも大きい。
主にWindowsストアを中心にコンシューマー向けのWindows 10 Sでは苦戦がみられるMicrosoftだが、ことビジネス向けでは「適用できるとこから適用していく」というスタンスで一定の成功を収めるかもしれない。
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