MicrosoftがAlphabet(Google)を時価総額で3年ぶりに抜いたことの意味:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
米国でMicrosoftの時価総額が、Googleの親会社であるAlphabetの時価総額を逆転した。過去1年間の株価をみると、Microsoftは40%もその価値を上昇させており、5月29日の取引終了時点で時価総額がAlphabetを上回ったのだ。その背景を探る。
日本でもクラウドを巡る競争が激化
両社の競合は世界各地で起きており、ここ日本でもWindows Serverを含む既存のデータセンターを運用する顧客をクラウドへと誘導しようと奪い合いが続いている。
政府関連機関や大企業のニーズを獲得すべく、Microsoftでは日本に早期から2つのAzureデータセンターを設置していたが、当時は1つのリージョン内に2つの拠点を構えているのはAzure全体をみても珍しく、それだけ国内市場を重視していたことの現れでもある。
各社取り組みの度合いに差があるものの、最近では古くからのビジネスの慣習を引きずって変化に時間がかかるといわれている国内大手の金融機関においてもAzureの採用事例が増えているようで、日本マイクロソフトによればこの分野での成長率は前年比200〜300%という水準で、この辺りでの地盤を急速に築きつつある様子がうかがえる。
一方、AWS側もMicrosoftの潜在顧客を獲得すべく動いており、国内においても5月28日には「Windows on AWS」戦略を支える新パートナーとして富士ソフトと日本ビジネスシステムズ(JBS)の2社を紹介しつつ、AWSを利用するメリットをアピールしている。
アマゾンウェブサービスジャパンのパートナーアライアンス本部長を務める今野芳弘氏がAWSで強調するのは、オンプレミス環境からクラウドへの移行を進める企業が増えていること、企業で利用されるアプリケーションの7割以上がWindows Server上で動作していること、そしてWindows Serverを含むOSやアプリケーションのクラウドでの長年の動作実績だ。
移行ツールや既存のライセンス流用方法まで、パートナーを交えてAWSを活用する方法を紹介しており、MicrosoftがAzureに巻き取ろうと考えている顧客を先行して取り込むべく動いている構図だ。
いずれにせよクラウドはまだ拡大中の市場であり、競合とパイの奪い合いというよりは、いかに従来のシステムを運用する顧客をクラウドの世界へと先んじて取り込めるかの戦いとなっている。
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