ChromebookでWindows 10を動かす「Campfire」 Googleが開発中か:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
GoogleのChrome OSが、macOSのようなOSデュアルブート環境に対応するのではないか、とのウワサが話題になっている。近い将来、ChromebookでWindows 10を利用可能になるというのだ。
Campfireの影響はそれほど大きくない?
Googleが本当にCampfireを提供するとして、どのような影響が考えられるだろうか。
筆者は「付加要素」的な意味合いが強く、これがChromebookという製品の位置付けを大きく変化させるものではないと考えている。前述のようにChromebookとしてはデバイスの要求仕様がやや高く、実際にWindows 10で利用することを考えた場合、使えるシチュエーションは自ずと限られるからだ。
Boot Campのように「せっかくハードウェアが同じなんだから、別のOSも使えれば作業の幅は広がるよね」ということで、普段使いとしてはChrome OSを利用しつつ、必要に応じてWindows 10を含む他のOSへと切り替えるイメージだろう。
このOSデュアルブートの実現には、Windows 10のライセンスが別途必要になることも忘れてはならない。歴史的にMicrosoftはPCにWindowsを含む複数のOSを搭載して出荷することをライセンス的に認めておらず、過去にそうした機能を持った製品が出荷段階でキャンセルになった事態が何度か発生している。
macOSのBoot Campでは追加するOSを別途入手してユーザー自身が導入する必要があるが、Campfireでも同様の手順を踏まなくてはならないはずだ。120〜200ドル程度でWindows 10のライセンスを追加購入してまでOSデュアルブートで利用しようというユーザーは限られるだろう。
Microsoftが禁止しない限りはこうしたライセンスの利用は問題ないと考えられるため、あくまで「興味のある人はこういうこともできる」というコンセプトにすぎない。現状の情報からは、Campfireの影響は限定的とみられる。
Arm版Windows 10はCampfireで利用できる?
なお、XDAのレポートでは触れられていないが、「Arm版Windows 10」こと「Windows on Snapdragon」の扱いがどうなるかも、Campfireでの気になるポイントだ。
仕組み上は問題ないと思われるが、現在Arm版Windows 10はリテールでのライセンス販売が行われておらず、基本的にOEM経由でプリインストール出荷されるWindows on Snapdragonデバイスを購入するしかない。またArm版Windowsのライセンスが、Campfire発表後にx86版Windowsと同様に提供されるかも不明で、実際にデュアルブート対象として利用できるかは分からない。
ChromebookにはArmベースのデバイスが少なからず存在しており、もし比較的ハイエンドに近い製品が今後リリースされる場合、実際にCampfireが利用できるかは興味深いところだ。
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