ついに日本でも解禁 「Amazon Echo」の通話機能を試してみた:ITはみ出しコラム
「Amazon Echo」シリーズや「Alexa」アプリの通話・メッセージ機能がついに日本でも使えるように。ディスプレイ付きスマートスピーカーの「Echo Spot」でビデオ通話を試してみました。
Amazonの音声アシスタント「Alexa」には、スマートスピーカーの「Amazon Echo」シリーズや「Amazon Alexa」アプリ(iOS/Android)をインストールした端末同士で、音声通話やボイスメッセージができる機能の「Alexaコール・メッセージ」があります。
9月5日、日本でもこの機能がやっと使えるようになりました。米国でこの機能が追加されたのは2017年5月なので、随分待ちました。
「Echo」や「Echo Dot」で音声通話ができるのはもちろん、ディスプレイ付きスマートスピーカーの「Echo Spot」なら、ビデオ通話もできます。ビデオ通話もできるコミュニケーションサービスは、Google(DuoやAllo)にもApple(FaceTime)にもFacebook(メッセンジャー)にもMicrosoft(Skype)にもありますが、Amazonのは声だけで会話を開始でき、ハンズフリーなところが最大の特徴です。
これはガジェットを使い慣れていない高齢者などとの連絡手段に便利そうです。私もこの機能が使えるようになったら、すぐにでも実家の母にEchoシリーズをプレゼントしようと思っていました。
でも、1つ問題がありました。この機能を使うには、Alexaアプリをインストールしてあるスマホの「電話番号」と、「連絡先」のデータをAmazonに引き渡す必要があるのです。
FacebookメッセンジャーやLINEでさえ、阻止すれば連絡先データを渡さずに済むのに、Amazonでは必須のようです(今のところ英語で検索しても回避方法は見つかりませんでした)。
【追記】アマゾンのヘルプセンターに「電話番号と連絡先へのアクセスを解除してもAlexaコールはできますか?」と質問したところ、「わたくしどもでは、電話番号と連絡先へのアクセスは必須というようにご説明しております」というお返事でした。
Amazon.co.jpの規約には「アマゾンは、お客様のAlexaコール・メッセージに係るカスタマー・エクスペリエンスを改善するため、定期的にお客様の連絡先を取り込み保存します。アマゾンは、サービスの提供および向上のため、お客様が最も連絡を取る相手を含む、お客様の連絡先および接続に関する情報を利用します」とあります。
個人的にこれにはとても抵抗があります。引き渡した情報が流出してしまった場合など、何かあったときに自分だけならともかく知り合いに迷惑が掛かるので。「リメンバー、Cambridge Analytica」です。
Alexaで通話できる人なんて、少なくとも今の段階ではほとんどいないのだから、Alexa用の連絡帳を別途作らせてくれればいいのになぁ……。と、しばし悩みましたが、使ってみたい誘惑に勝てず、電話番号と連絡先をAmazon様に差し出しました。Amazon様、なにとぞしっかり管理をお願いします。
設定してAlexaアプリで「連絡先」を開いてみたら、案の定、1人(それもITmediaの編集者)しか表示されませんでした。連絡先の中で、Alexaコール・メッセージに登録した人しか表示されないのです。
つまり、Amazonのプロモーションビデオでは、おばあちゃんにプレゼントしたEcho Spotを電源につないだらすぐにビデオ通話ができるみたいに見えますが、おばあちゃんもスマホを使ってAlexaコール・メッセージに登録しないといけないんです。おばあちゃんのスマホを借りて代わりに設定してあげればいいですが、私の母は携帯電話派なので、どうしたものやら。これも方法があるのかどうか、後で調べます。
【追記2】
母の家に、自分のアカウントを設定したEcho Spotを1台置けば、スマートフォンを持っていない母ともAlexaコールができる(こちらのコラムで方法を紹介)のですが、それはつまり母とAlexaとの会話も私の会話として記録されるということで、私のアクティビティ履歴が濁るのと、母のプライバシーに踏み込んでしまう(アクティビティ履歴で会話をチェックできる)という2つの意味でやりたくないです。
気を取り直して、取りあえずスマホのAlexaアプリから自分にビデオ通話をかけてみました。Echo Spot、Echo Dot、(最近まで使っていた)スマホの「Nexus 5X」で一斉に着信音が鳴ります。夫にEcho Spotで出てもらいました。
Echo Spotの場合、画面の着信アイコン(緑のビデオカメラアイコン)をタップするか、「Alexa、出て」と言うとつながります。
この使い方なら、出先から自宅の家族に連絡できます。たとえ家族はAlexaの設定をしていなくても。
さらに、「呼びかけ」機能を許可すれば、呼びかける端末を指定することで相手が応答しなくても音声と画像のやりとりができるようになります。使い方によってはちょっと怖いので、この機能はオフにもできるようになっています。
これを使えば、自分からは「Alexa、娘に連絡して」とか「Alexa、取って」とか言うこともできない相手とも話ができるでしょう。
また、留守宅の様子をチェックするホームカメラ代わりにもなります。お散歩中に思い付いてやってみました。あらかじめチェックしたい方向にEcho Spot(うちの子は「Spotty」という名前)のカメラを合わせて置く必要があります。ペットを室内で飼っている人に便利そうです。さみしそうだったら声を掛けることもできるし。
というわけで、日本でも解禁されたAlexaコール・メッセージを一通り試してみました。ガジェットに詳しくない母に使ってもらうのは、プライバシー関連や設定についてもう少し調べてからにします。
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