スマホの“子機”が続々と出てくるワケ:ITはみ出しコラム
iPhoneもAndroidも新モデルは大型化が目立つようになりました。高性能になって画面が見やすくなるのはいいことですが、大きすぎて持ちにくくもなってきています。その解決法として、いろいろなモノが出てきました。
先週は立て続けにスマートフォンの“子機”となる新製品が発表されました。
スマートフォンがどんどん巨大化して、性能が上がって画面が見やすくなる一方で持ちにくくなっているのを、子機でカバーするという考え方です。この現象に名前を付けたいのですが、いい言葉が思い浮かびません。「本末転倒」とも違うし……。
懐かしのPDAブランドを冠した「Palm」は、米Verizonのスマホ(iPhoneでもAndroidでも)を持っている人が、同じ電話番号で使えます。大きなスマホを持ち歩かなくても単体で基本的なことはできるAndroid搭載の“コンパニオン”端末です。
オリジナルとは全く違うモノになった「Palm」。サイズは50.6(幅)×96.6(高さ)×7.4(奥行き)mm、重さは約62.5gで、Snapdragon 435、メモリ3GB、ストレージ32GB、3.3型(445ppi)の液晶ディスプレイを搭載しています
携帯電話の番号を共有するというのはNTTドコモの「ワンナンバーサービス」のようですね。そして、そのドコモが発表した「ワンナンバーフォン ON 01」。こちらはAndroid 8.0以降を搭載したドコモのスマホと同じ携帯電話番号を共有する中国ZTE製の周辺機器です。
ドコモの製品紹介サイトでは「電話はコンパクトな子機で。動画視聴やネット閲覧は大画面の親機(スマホ)で。機能によって使い分けられるから便利・快適」と説明されています。
確かにスマホは巨大化しています。ベゼルを狭くすることで広いディスプレイを以前より小さな筐体に収められるようになってはいるものの、新製品が出るごとにディスプレイのサイズはまだ大きくなっていきそうです。
実際に6.5型の「iPhone XS Max」を片手で持ってみると、横幅だけでなく縦に長いので、私の小さな手では重心が上になりすぎて画面が上向きになるくらいです。
このままファブレット(スマホ+タブレット)的になっていくと、ASUSの「PadFone」シリーズのような“合体変形”的な進化方向もあるかなと思いましたが、新モデルはしばらく出ていません。
一方で「カードケータイ KY-01L」や「NichePhone-S 4G」、そして「Jelly Pro」のような機能を削って小型にした通話端末が出ているのも、スマホ巨大化の反動なのでしょう。
もちろん、「大きなスマホをいちいち取り出すのが面倒なだけなら、スマートウォッチで済むじゃないか」という意見もあります。「Apple Watch」でもウルトラ警備隊的な格好になることを気にしなければ通話だってできますし。
そのうちARメガネがもっと進化して違和感なく装着できるようになり、安全性も確保できたら、スマホ自体がテレビアニメ「電脳コイル」に出てくる電脳メガネのようなデバイスに取って代わられるかもしれません。
今回の子機はそれまでの過渡的な製品かなと思います。でも、小さきものをめでる族としては、1つ欲しい。かつてのPalmユーザーとしては、Palmが欲しい(でも、日本では販売予定なし……)。近所への買い物くらいならPalmだけパンツのバックポケットに入れて行けばいいし、本格的なお出かけならバッグに「Pixel 3」、ジャケットのポケットにPalmを入れておけば安心です。
そういえば、Androidの父と呼ばれるアンディ・ルービンさん率いる米Essential Productsも、スマホとは違う新しい端末を開発中だそうです。
こちらは子機という発想ではなく、ディスプレイを巨大化していくのとは違う方向への進化を目指しています。ディスプレイは小さく、入力は主に音声で行い、通話もできますが、ユーザーの代わりに電話に出てくれるのが特徴。最近の流行である「デジタルウェルビーイング(スマホ中毒対策)」に重点を置いたものになりそうです。
スマホの進化ペースは落ちても、その周辺にはまだ面白いことがありそうです。
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