新「iPad Pro」を試して判明した驚異の実力 もはやパソコン超えか:本田雅一のクロスオーバーデジタル(5/5 ページ)
新しい「iPad Pro」を使い始めてみると、「仕事の全てをここに集約できるのではないか」という考えが頭を離れない。パソコンを仕事や学習の道具として毎日持ち歩くライフスタイルを送っている全ての人にとって、「次の世代のパーソナルコンピュータ」となる製品だ。
「パソコンとは異なる体験」への期待
写真関連のワークフローが急速に整備された背景には、iPad Proをフォトグラファーが好んで使うようになったことがあるのだろう。iPadが登場した当時、まさかプロフェッショナルの写真ワークフローがパソコンよりもパワフルになるとは誰も想像しなかったのではないだろうか。
しかし、今回のようにキーボードの使いやすさがさらに向上し、またオフィスワーク用のアプリなども含めて快適性が増してくれば、同じような現象……すなわち、iPad Proで仕事をこなすための多様なアプリが登場してくるに違いない。
かつてはタブレットとパソコンを比較することはナンセンスだった。現在もデスクトップPCや、机の上で使うことが多いハイパワーのノートPCならば、その論は正しいかもしれない。しかし、こと持ち運びを意識したパーソナルコンピュータという範囲であれば、その関係性は逆転したといえるだろう。
試用してまだ1日半、12.9型ディスプレイでのARアプリは、iPhoneとは全く異なるレベルの体験がある。高性能なパソコン、最新鋭のパソコンといえど、パソコンから得られる体験は、読者の多くが想像できる一方、確実に仕事をこなせる選択肢ではある。
例えば、Macを含めてパソコンならば、USBポートに接続したUSBメモリやメモリカードリーダー内のファイルを自由に扱える。しかしiOSでは制約があり、ファイルアプリを使ってもメモリカードから簡単にはファイルを読み出せない。外部メモリカードからの読み出しは画像ファイルに限られているからだ。
USB-Cを通じてポートリプリケータを介し、USB DACで音楽を鳴らすこともできたが、同じリプリケータにHDMI経由でテレビを接続すると、音声は全てテレビ側から出力されてiPad Pro側からは選べないといった制約も発見した。こうした制約がUSB-Cを通じた接続でどの程度の範囲で存在するかは、まだ全てを確認できていない。
しかし、そうした制約を考慮した上でも、iPad Proには想像を超えて新しい使い方、快適な利用シナリオが生まれてくる可能性がありそうだ。これからどんな使い方、アプリが生まれるのか。使えば使うほど、まだまだ新しい発見が生まれそうな期待感が新しいiPad Proにはある。
パソコンならではの汎用(はんよう)性と、そこから来る確実な利用体験。iPad Proがもたらすだろう新しい可能性と驚き。あなたはどちらに魅力を感じるだろうか。
ニュース解説番組「NEWS TV」で記事をピックアップ
ITmedia NEWS編集部がYouTubeでお届けするライブ番組「ITmedia NEWS TV」で、この記事を取り上げています。ぜひ視聴・チャンネル登録をお願いします。
関連記事
- 新しい「MacBook Air」と「iPad Pro」に触れて感じた“違い”
「MacBook Air」と「iPad Pro」の新モデルが登場。「モバイル環境で使われるパーソナルコンピュータ」という領域では重なる要素を持つ、この2製品について実機に触れた印象をお伝えする。 - Retinaディスプレイを採用した新型「MacBook Air」 1199ドルで11月7日に発売
待望のRetinaディスプレイ(2560×1600ピクセル)を採用。より小さく、薄いボディーになった。 - 新型「iPad Pro」発表 11型と12.9型 ホームボタン廃止でFace ID対応
Appleが新しい「iPad Pro」を発表。11型と12.9型の2モデルを用意。狭額縁デザインになり、Face IDに対応する。 - Apple新製品イベントの前に知っておきたい2年以上にわたる取り組み
10月30日23時(日本時間)に始まるAppleのスペシャルイベントでは何が発表されるのか。その内容はこれまでAppleとAdobeが取り組んできたことに大きな関わりがあるようだ。 - 「iPhone XR」は「XS」よりオススメ 使い比べた結論
2018年の「iPhone X」ファミリーを使い比べて感じたのは、「フル機能のiPhoneはXSシリーズだが、個人的に購入するならばXRを選ぶだろう。また、どのiPhoneを選ぶか迷っている人がいるならば、まずはXRをすすめる」ということだ。 - 「Apple Watch Series 4」を試して分かった“iPhone以上の大進化”
「XS」「XS Max」「XR」といったiPhoneの新モデルに注目が集まっているが、実は最も進化し、今後われわれの生活を大きく変えていく可能性があるのは「Apple Watch」なのかもしれない。そう予感させる新モデル「Series 4」を発売前に試したレポートをお届けする。 - 「iPhone XS/XS Max」に触れて分かった“Xの系譜”を選ぶ理由
発売に先駆けて数日間、「iPhone XS」「iPhone XS Max」を試用した。発表時の現時取材を踏まえ、実機に触ったインプレッションをお届けする。 - 「iPhone XS/XR」でハッキリした“進化の道筋” Appleは何をやりたいのか
米サンフランシスコで行われたAppleの発表会を現地で取材し、iPhone XS/XS Max/XRを知って見て触ってハッキリしてきたこと、Appleが今後何をやろうとしているのかをお伝えする。 - 第8世代Coreの「MacBook Pro」選びで知っておきたいこと
ボディーデザインはそのままに、プロセッサの世代交代を果たした「MacBook Pro」。第8世代Core(Coffee Lake)による性能の向上はもちろんだが、それ以外にも進化した部分は少なくない。製品選びのシナリオを考えつつ、注目すぺきポイントをまとめる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.