第3世代Ryzen Mobileの実力は? 「ThinkPad X13 Gen 1」AMDモデルを試す(1/3 ページ)
AMDのCPU「Ryzen(ライゼン)」が、ノートPCの世界でも存在感を増している。最新の第3世代Ryzen Mobileプロセッサの実力はいかほどのものか、レノボの「ThinkPad X13 Gen 1」を通してチェックしていく。
ここ1〜2年ほど、AMD製のCPU「Ryzen(ライゼン)」の存在感が増している。それはノートPCの世界も例外ではなく、同社製のAPU(CPUとGPUを統合したプロセッサ)である「Ryzen Mobileプロセッサ」を搭載するモデルも充実してきた。
この記事では、レノボ・ジャパンが発売した「ThinkPad X13 Gen 1」を通して、最新の第3世代Ryzen Mobileプロセッサの実力をチェックする。
見た目はIntelモデルとほぼ同じ
今回レビューするThinkPad X13 Gen 1は「20UFCTO1WW」という型番のCTO(カスタマイズ)モデルだ。そのため、型番だけではスペックを判別できない。
この個体の主なスペックは以下の通り。8月27日現在、同一構成にした場合の税込み直販価格は12万3200円となっている。
- CPU:Ryzen 5 PRO 4650U(2.1G〜4GHz、6コア12スレッド)
- メインメモリ:8GB(4GB×2) DDR4
- ストレージ:256GB NVMe SSD(OPAL対応)
- ディスプレイ:フルHD(1920×1080ピクセル)IPS液晶(最大輝度300ニト)
- OS:Windows 10 Home(64bit)
- LTEモジュール:なし
ThinkPad X13 Gen 1には第10世代Coreプロセッサを搭載するIntelモデルもある。ボディーの基本設計は共通で、サイズも重量も変わりがない。パッと見では判別が付かないが、見分ける方法はある。
IntelモデルとAMDモデルでは、左側面にある2基のUSB Type-C端子の構成が以下のように異なる。
- Intelモデル:USB 3.0 Type-C+Thunderbolt 3(USB 3.1 Type-C)
- AMDモデル:USB 3.1 Type-C×2
簡単にいえば、Thunderboltマークの有無で見分けられるのだ。もちろん、製品に貼り付けられているCPU(APU)ロゴシールでも区別はできるが、それをはがすとThunderboltマークの有無以外に見分ける上で決定的な要素がなくなってしまう。
なお、USB Type-C端子はいずれもUSB Power Delivery(USB PD)による電源入力とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力に対応している。USB 3.0 Type-A端子やHDMI出力端子など、他のポートの仕様はIntelモデルとAMDモデルで変わらない。
左側面にはUSB 3.1 Type-C端子×2、イーサネット拡張コネクター2、USB 3.0 Type-A端子、HDMI出力端子とイヤフォン/マイクコンボジャックを備えている。イーサネット拡張コネクター2と一体化したUSB Type-C端子にThunderboltマークがないことが“AMDモデルの証”だ
USB Type-C端子のうち、右側のポートは「イーサネット拡張コネクター2」と一体成型されている。イーサネット拡張コネクター2に「イーサネット拡張ケーブル2」(※)を接続すると、1000BASE-T対応の有線LANポートとして利用できる。セキュリティポリシーの都合でUSB接続の有線LANアダプターが使えない場合も安心だ。
(※)CTOモデルでは付属の有無をオプションとして選択できる
背面には、トレイ式のmicroSDメモリーカードスロットがある。トレイの着脱はセムクリップやSIMピンで行う方式だ。なお、オプションでLTEモジュールを搭載した場合、同じトレイにnanoSIMを載せられるようになっている。
ACアダプターはUSB PD準拠で、カスタマイズモデルでは45Wか65Wを選べる。可搬性を重視するなら45W、充電の速さを重視するなら65Wを選択すると良いだろう。
見やすい画面と打ちやすいキーボード
先述の通り、今回レビューする構成のディスプレイは最大輝度300ニトの13型フルHD液晶だ。非光沢(ノングレア)加工で、長時間の作業も苦にならない。画面は180度まで開くので、テーブルの向かい側に座っている人に画面を見せるのも容易である。
キーボードはいわゆる「フルサイズ」で、キーピッチは約19mmを確保しており打ちやすい。ThinkPadの象徴であるポインティングデバイス「TrackPoint」の操作性も良好だ。
ただ、日本語配列のキーボードでは、右端にある一部のキーが他のキーよりも小ぶりとなる。「全ての文字キーは同じサイズじゃなければいやだ!」という人は、間違いなく気になるポイントだろう。
この点が引っかかるというなら、14型ディスプレイを搭載する「ThinkPad T14s Gen 1」など、文字キーのサイズが均一となるモデルを検討しても良いだろう。ThinkPad T14s Gen 1にもAMDモデルが用意されている。
あるいは、カスタマイズオプションで米国英語(US)配列のキーボードにしてしまうのも手だ。US配列の場合、最右端にある「バックスラッシュ」以外の文字キーは全て同じサイズになる。かな印字や日本語入力に関連するキーがなく、一部の記号の配列も異なることには注意しよう。
関連記事
- プレミアムビジネスノートPC向け「第3世代Ryzen PRO」のラインアップが判明 Lenovoが「ThinkPad」に採用
ノートPC向け第3世代Ryzenプロセッサに企業向け管理機能を追加したAPU「Ryzen PRO 4000シリーズ」のラインアップが発表された。Lenovo ThinkPadの2020年モデルの一部で、同シリーズを搭載する構成を選択できるようになる。 - Zen 2+Vega(7nmプロセス)=第3世代Ryzen Mobile
AMDが、第3世代Ryzenプロセッサの追加ラインアップの発表に合わせて、同プロセッサのアーキテクチャ(設計)の概略を公開した。 - CPUとGPUの両方でライバルを“圧倒” AMDが新型「Ryzen」「Radeon」をアピール
「Ryzen」を始めとするCPUと、GPU「Radeon」の両方を開発しているAMD。CPUにはIntel、GPUにはNVIDIAという“きょうごう”がいるが、CES 2020の基調講演において、その両方で性能優位であることをアピールした。 - 8コア16スレッドで競合製品を抜き去る! Zen 2に移行した第3世代「Ryzen Mobile」の実力
AMDが「Zen 2」アーキテクチャを適用した第3世代Ryzen Mobileを発表した。その実力はいかほどのものなのか。同社のリサ・スーCEOが「CES 2020」の基調講演で語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.