多方面でAMDが存在感を示した1年――アキバの1年を振り返る【後編】:2020年のアキバまとめ後編(4/4 ページ)
PCパーツ市場の動向を中心に振り返ると、トレンドを作ったいくつものジャンルでAMDが顔を出すことに気づく。コロナ禍の中で自作PCの新たな需要もわき起こった特殊な1年を、キーになったパーツごとにたどってみよう。
小型ベアボーン:ゲーミングNUCとDeskMiniが目立った1年
小型ベアボーンの動きも激しかった。コロナ禍によるテレワーク需要の伸びから、春先には10万円以下のノートPCとともに、超小型ベアボーンの売れ行きが加速した。その最中に、Intelは第10世代となるCore i7-10710Uを搭載したNUC「NUC10i7FNH」を投入し、順調にヒットさせている。
さらにテレワーク特需が落ち着いた夏頃には、グラフィックスカードが挿せるゲーミングタイプの「Intel NUC 9 Extreme」シリーズが登場し、別の需要の喚起にも成功している。年末にはクーラーマスターのIntel NUC 9 Extreme専用ケースを採用したBTOマシン「NC100 Compact」をオリオスペックが販売するなど、存在感が増している。
GeForce RTX 30シリーズの登場以降は、発熱の大きい同GPUをあえて小型ケースに組み込む自作のトレンドも生まれており、そちらとも多少合流する形で注目を集めているそうだ。
もう1つ大きな流れを作ったのは、10月初旬に登場したASRockのベアボーン「DeskMini」の新シリーズだ。AMD系のデスクトップCPUが載せられる「DeskMini X300」と、Intel系の「DeskMini H470」が同時に売り出され、発売当時から各ショップで大ヒットを記録している。
その中心となったのは「DeskMini X300」だ。当時、ドスパラ秋葉原本店は「(前世代の)DeskMini A300の安定した人気を引き継ぎつつ、最新のRyzen PROが使えるアドバンテージが大きいですね」と話していた。
前編でも触れたように、コロナ禍は年末年始の営業方針にも影響を及ぼしているし、おそらくは2021年の自作市場のトレンドにも爪跡を残すだろう。そういう意味で、2020年は区切りが付けにくい1年となったかもしれない。それでも、街や市場が未曽有の流行病に対応したという点において、起点となる年だったともいえるだろう。
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