「Intel Unison」はスマートフォン×Windows PC連携アプリの夢を実現するか:Windowsフロントライン
Intelから、Windows PCとスマートフォンを連携するアプリ「Intel Unison」が発表された。AndroidだけでなくiOSでも利用可能なものだが、利用できるPCはかなり限定的でのスタートとなる。
9月中旬に開催されたイスラエルのIntel研究施設を巡る「Intel Technology Tour 2022」において、9月27日と28日の2日間にわたって米カリフォルニア州サンノゼで開催された「Intel Innovation」のプレビューが行われた。
ただし、これは本来Innovationで発表される内容をツアー参加者に対して特別に「先出し」で紹介する企画であり、事前の記事化ができなかった。そのプレビューで発表された内容として第13世代Intel Coreプロセッサの技術解説があったが、もう1つ、目玉機能の1つとして紹介されたのが「Intel Unison」だ。
イスラエルからやってきたスマートフォン連携機能
例えばAppleのエコシステムでいえば、Mac、iPhone、iPadの連携は非常に容易で、写真や画面共有、通知メッセージのデバイスをまたいでの連携やMac上での通話など、ごく自然に行える。これは共通のエコシステムゆえにある意味で当然のことで、それ以外の組み合わせ、例えばWindows PCやAndroid携帯が混ざるとその限りではなくなる。
MicrosoftではWindows 10時代に「Your Phone」の名称でPCとスマートフォンを連携させるアプリを出していたが(後に「Phone Link」に名称変更)、リージョンごとの機能の差異や、Windows Mobileなき後の連携先がAndroidに限られるなど、非常に限定されたものだった。
これを解消すべく登場したといえるのが「Intel Unison」だが、その最大の特徴は連携先にiPhoneが加わったことにある。これで主要プラットフォームはほぼカバーされたということで、利便性の面でようやく一歩を踏み出したという状況だ。
Technology TourではUnisonのデモンストレーションが披露され、例えばスマートフォンのフォトライブラリーに入っている素材をそのままWindows PC上で共有してPowerPoint作成の素材にしたり、スマートフォンにSMSの形式で送られてきたWebサイトログインのための認証コードを、PC上にそのまま表示してコピー&ペーストを行ったりと、前述のAppleエコシステムで実現していたような作業をそのまま実行している。
このベースになった技術はIntelが1から開発したわけではなく、2021年後半に同社が買収したイスラエル企業のScreenovate Technologiesの製品を転用したものとなる。ZDNetでメアリー・ジョー・フォリー氏も指摘しているが、Dell Technologiesがかつて自社製品として提供していた「Dell Mobile Connect」「Alienware Mobile Connect」(日本では2023年1月31日でサービス終了)の機能として提供していたもので、基本的にはその特徴をそのまま引き継いでいる。
Androidについてはほぼ問題なく機能するが、iPhoneではまだ一部機能に制限があり、この辺りはサードパーティー製品ならではの悲哀がある。Intelプロセッサを搭載したPC製品限定とはなるが、少なくともWindowsのスマートフォン連携アプリの機能性は向上するため、(筆者がそうだが)Phone Linkのように使われないまま放置ということは減るのではないかと考える。
現行の第12世代CoreプロセッサではAcer、HP、Lenovoなど限られた範囲での対応にとどまるが、2023年に各社からリリースされる第13世代Coreプロセッサを搭載したEvoデザインのPCでは適用範囲が広がるとのことなので、もう少しだけ身近な技術になるだろう。
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