AMDの新型CPU「Ryzen 5 9600X」「Ryzen 7 9700X」はエントリーモデルでも高コスパで魅力的! ライバルCPUと比較して分かったこと:先行レビュー(1/4 ページ)
Zen 5アーキテクチャを採用するCPU「Ryzen 9000シリーズ」のハイエンドモデルが、順次発売される。先行して登場するRyzen 5/7をレビューする機会を得たので、その実力をチェックしていこう。
AMDの新型デスクトップ向けCPU「Ryzen 9000シリーズ」のうち、ハイエンドモデル(Ryzen 9000Xシリーズ)の下位に相当する「Ryzen 5 9600X」「Ryzen 7 9700X」の日本における発売日時が8月10日午前11時に決定した。日本における想定販売価格は以下の通りとなる。
- Ryzen 5 9600X:5万4800円
- Ryzen 7 9700X:7万800円
新しい「Zen 5アーキテクチャ」を採用するデスクトップ向けCPUの第1弾として、発売を今か今かと待っている人も少なくないだろう。
今回、AMDから発売前にRyzen 5 9600XとRyzen 7 9700Xのレビューキットを借りることができたので、ベンチマークテストを通して性能をチェックしていく。
Ryzen 5 9600X/Ryzen 7 9700Xの概要(一部おさらい)
今回レビューを行うRyzen 5 9600XとRyzen 7 9700Xについて、簡単におさらいしておこう。
両CPUは、COMPUTEX TAIPEI 2024に合わせて発表された。先述の通り、Ryzen 9000Xシリーズとしては下位に相当し、上位モデルの「Ryzen 9 9900X」「Ryzen 9 9950X」と併せて米国では7月31日に発売される予定だった。
しかし、ハイエンドモデルは初期生産分に品質面で不備があったため、在庫の差し替えを行うために発売が延期された。
両CPU共に、CPUコアは最新のZen 5アーキテクチャを採用する。一方で、GPUコアはRDNA 2アーキテクチャベースの「Radeon Graphics」(2コア)で据え置かれているため、特にゲームや映像編集に活用する際はグラフィックスカード(外部GPU)を別途用意することが望ましい。
CPUコアの製造プロセスは、TSMCの 「N4X(4nm)」で、先代の「Ryzen 7000シリーズ」比で微細化が進んだ。両CPUの場合、CPUコアのユニット(CCD:Core Complex Die)は1基構成となる。一方、入出力回りを担うI/Oダイは、先代と同じくTSMCの「N6(6nm)」プロセスで製造される。
冷却機構を検討する際に重要なTDP(熱設計電力)は、両モデル共に65Wだ。CPUコアの微細化が進み、そもそもの消費電力と熱抵抗値が改善した結果だろう。「ハイエンド(Xシリーズ)でも、65Wモデルが出てきたのか……」と思うと感慨深い。特に、小型のフォームファクターで「高クロックCPUを使った自作PCを組みたい」と考える人には“朗報”といえる。
ただし、Xシリーズということもあってか、両モデルには純正CPUファンが付属しない。CPUの冷却機構については、別途用意する必要があるので注意したい。
また見えない部分での性能向上として、IPC(クロック当たりの処理命令数)が先代(Zen 4アーキテクチャ)と比べて平均16%向上している。同じクロックではより多くの命令を処理できることになるため、Ryzen 7000シリーズのハイエンドモデル(Ryzen 7000Xシリーズ)で同等クラスのCPUを使っている場合は、CPUを換装するだけで一定のパフォーマンスアップ(と省電力効果)を得られる(※1)。
(※1)Ryzen 7000/8000Gシリーズ対応のマザーボードを流用する場合、出荷時期によってはUEFI(BIOS)を事前に更新する必要があります
その他、主な仕様は以下の通りとなる。
- Ryzen 5 9600X
- CPUコア:6基12スレッド(3.9GHz〜5.4GHz)
- L1キャッシュ:480KB
- L2キャッシュ:6MB
- L3キャッシュ:32MB
- Ryzen 7 9700X
- CPUコア数:8基16スレッド(3.8GHz〜5.5GHz)
- L1キャッシュ:640KB
- L2キャッシュ:8MB
- L3キャッシュ:32MB
次ページからは、Ryzen 5 9600X/Ryzen 7 9700Xの実力をベンチマークテストを通してチェックしていく。
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