木に裏配線、ダミーモジュールなど“自作PCの幅”が広がった2024年:2024年のアキバまとめ【後編】(1/4 ページ)
意匠として木材を使用するPCケースが注目を集め、ケーブルを徹底的に隠す裏配線プロジェクトが話題となる一方で、ダミーモジュールが売れるなどの動きも見られた。2024年の自作PCトレンドは、案外見た目に集約されているかもしれない。
自作PCの完成形のトレンドは、PCケースのそれを追うと見えてくる。まず2023年からの流れで、フロントから左側面にかけて遮蔽する柱をなくした、ピラーレスデザインのケースは2024年も人気を維持した。しかし、それだけでなく、さまざまな進化を見せている。
ピラーレスブームの進化と自然の風合いの取り込み
2月下旬にはLian Li Industrialがピラーレスで人気の「O11」シリーズに、上面もあわせて3面に鏡面ガラスを採用した「O11 Vision」を追加。PC Master Raceとコラボした製品として2万8000円前後で登場し、展示機を置いたショップで強いインパクトを残した。
8月には曲面ガラスを採用した「FV270 RGB」も3万1000円前後でCOUGAから売り出されている。フロント部分を回転台に換える別売りオプションも用意しており、PCケースをディスプレイ目的として使う側面に新たな解釈を加えたことも見逃せない。
一方で、近年のパーツの価格高騰を象徴するモデルも登場している。11月初旬に登場したHYTEの「Y70 Touch Infinite」がそれだ。フロントと左側面に挟まれた縦長の面にタッチパネルディスプレイを加えたE-ATXケースで、2023年12月に登場した「Y70 Touch」をベースに再生産された。
しかし、画面の解像度は1100×3840ピクセルから682×2560ピクセルにダウン。価格はY70 Touchの6万円強から7万円弱に上がった。それでも再登場を待っていたユーザーは多く、各ショップでヒットを記録している。
もう1つの潮流は、意匠として木材を使うブームだ。木材デザインケースの端緒といえるのは、2022年12月にFractal Designが投入したATXケース「North」だが、2024年3月にはその大型版といえるE-ATX対応の「North XL」が3万9000円弱で登場した。
その後も、同社からは天面パネルに木材を使ったMini-ITXケース「Era 2」が4万6000円弱で9月に登場し、同じタイミングでLian Li IndustrialのmicroATXケース「A3-mATX-WD」(1万円台前半)や、JONSBO SHENZHEN TECHNOLOGYのMini-ITXケース「TK-0」「T6」(共に3万円弱)、AntecのE-ATXケース「FLUX」シリーズ(1万7000円前後〜)なども売り場に並ぶようになった。
当時、TSUKUMO eX.は「環境意識が高い欧米でヒットした流れが日本にも届いてきた感じですね。(木材は)伝統的にもなじみやすい意匠ですし、定着しそうです」と話していた。
こういった流れの融合も起きている。前述の「TK-0」もそうだが、ピラーレスと木材パネルを組み合わせたケースが秋から年末にかけていくつか登場した。12月に2万3000円前後で店頭に並んだAntecのATXケース「C8 Curve Wood」は、複数のショップが年末年始のヒット候補に挙げていた。
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