「Next GIGA」に向けてPC周辺機器メーカーの動きも活発に さまざまな視点から教育の“質向上”を提案：EDIX 東京 2025（1/3 ページ）

文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」が2期目を迎えた。それに伴う学習用端末の取り換えは2025〜2026年度にピークを迎える。それだけに、学習用端末の周辺機器を取りそろえるメーカーの動きも活発だ。この記事ではそんな周辺機器メーカーの動向に注目する。

[石井英男，ITmedia]

　2019年に始まった文部科学省の「GIGAスクール構想」だが、同構想で導入された学習用端末のリプレースが2024年度から始まっている。ただし、端末の導入時期の都合から、リプレースのピークは2025〜2026年度になるとされている。そのこともあり、PCメーカーやプラットフォーマーは教育関係者向けの展示会に積極的に出展し、自社の端末やプラットフォームをアピールしている。

• →「Next GIGA」で学習用端末はどう変わる？　「教育DX推進フォーラム」で見たPC／周辺機器メーカーの戦略
• →リプレースを迎える小中学校の「学習用端末」　PCメーカー各社が「Next GIGA」向けPCを展示

　2024年度から始まった学習用端末のリプレースは、GIGAスクール構想の“第2期”（いわゆる「Next GIGA（GIGA 2.0）」）に当たるが、第2期では校内のネットワーク環境の改善や校務のデジタルトランスフォーメーション（DX）推進も重要なテーマに掲げられている。

　このような流れを受けて、PC周辺機器メーカーは教育関係者に自社の周辺機器やソリューションをアピールする機会を増やしている。この記事では、　4月23日〜25日に東京ビッグサイト（東京都江東区）で開催された教育関係の展示会「EDIX 東京 2025」における主な展示を紹介したい。

EDIX 東京 2025は、東京ビッグサイトの南展示棟と会議棟を使って開催された

バッファロー：校内ネットワークの「調査サービス」に力点

　PC周辺機器メーカーとして広く知られるバッファローは、ブースにおいて「ネットワークアセスメント」を強くアピールしていた。

バッファローブースの様子

　先述の通り、Next GIGAでは校内のネットワーク環境の改善をテーマの1つとしている。そこで文部科学省が推奨しているのがネットワークアセスメント、つまり校内ネットワークの“調査”だ。

• →学校のネットワークの改善について（文部科学省）

　GIGAスクール構想により、義務教育課程における「児童／生徒への1人1台の学習用端末配備」は一通り完了した。一方で、学校のネットワーク環境が貧弱がゆえに、インターネット経由で利用するデジタル教材などを満足に使えないという問題が多発した。ゆえに、Next GIGAの実施に当たり、補助金を支給するなどしてネットワークアセスメントの実施を推進することになったのだ。

　バッファローでは、このネットワークアセスメントを請け負うサービスを提供しており、既に多くの実績があるという。ネットワークアセスメントの実施には、補助金も支給されるため「スタンダードプラン」では実質的な負担は21万円（税別）で済むという。

文部科学省の推奨するネットワークアセスメントのあらまし。バッファローのサービスでは、これに準拠する形でネットワークアセスメントを実施できるという

バッファローのネットワークアセスメントサービスは、スタンダードプランで30万円（税別）だが、文部科学省の補助金を利用すると実質負担は21万円（同）となる

　その他、バッファローブースでは同社が得意とする無線LAN（Wi-Fi）アクセスポイントやスイッチングハブなどのネットワーク機器や、機器を遠隔管理できる「キキNavi」も紹介されていた。

学校内の設置に適したWi-Fiアクセスポイントや、それと組み合わせるスイッチングハブも多数展示していた。（保健）体育科や理科などの屋外活動用に屋外設置用のWi-Fiアクセスポイントも取りそろえている

ネットワーク機器の遠隔管理サービス「キキNavi」は、基本機能を無料で利用できることをアピールしていた

職員室のネットワークサーバとして、法人向けNASも提案していた（写真は2ベイの「TS3220DN0202」）

災害時にフリーWi-Fiスポットとして運用できるWi-Fiアクセスポイント「FS-M1266」もアピールしていた

エレコム：子ども向け向けキーボードをメインに据える

　同じくPC周辺機器メーカーとして有名なエレコムは、主に小学校低学年をターゲットに据えたタッチタイピング練習用製品「KEY PALETTOシリーズ」を中心に展示していた。

エレコムブースの様子

　KEY PALETTOシリーズは元々、大人向けよりもコンパクトなキーボードからリリースされたが、現在では既存のキーボードに貼り付けるためのカラフルなシールも販売されている。ブースでは、higo氏が開発したタイピング練習ソフト「Typing Land」と組み合わせてデモ展示されていた。Typing Landは無料で利用でき、KEY PALETTOシリーズと組み合わせることで“正しい”タッチタイピングを短期間で習得できるという。

KEY PALETTOシリーズは小型キーボードの他、キーボードのキートップに貼れるシールも展開している

　その他、不審者侵入対策用の監視カメラや無線LANアクセスポイントなども展示されていた。

KEY PALETTOキーボードはPCなどにつないで使う有線／無線（Bluetooth）タイプの他、iPadシリーズのカバーを兼ねるフォリオタイプもある

Typing Landには、エレコムとコラボレーションした「KEY PALETTO Edition」もある。通常版との違いは、その名の通りKEY PALETTOに最適化されていることだ

　その他、同社ブースには監視カメラやWi-Fiアクセスポイントなど、学校向けのハードウェアが一通り展示されていた。

監視カメラと無線LAN AP

小学校の教室を模したコーナーもあった