Windows 10と11のシェアに起きた2月の“異変”と、“Windows 12”フェイクニュースが生まれたワケを読み解く:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
StatCounterとSteamのOSシェアにまつわる話と共に、一部を騒がせた「2026年にAI特化のWindows 12が出る」といううわさの真相と情報元の不確かな経緯について、Windowsの最新事情に照らし合わせて検証する。
一部で少しだけうわさになったWindows 12の話
現在では既に否定されているものの、少し前に「OSのコアにAI機能を備えて“AI OS”となった“Windows 12”が2026年にリリースされる」という記事が出回り、ちょっとした騒動になった。
PCWorldに3月4日(米国時間)に掲載された記事だが、下記の記事まとめにあるように「2026年リリース予定とされるWindows 12」「開発コード名は『Hudson Valley Next』でコアシステムのコンポーネントとしてAIを密に統合」「AI PCやCopilot対応デバイスをターゲットに40TOPSのNPUを必須とし、モジュラー型のCorePCアーキテクチャを採用」「MicrosoftはプレミアムなAI機能にサブスクリプションモデルを提供」といった内容がまとまっている。
ただ、本連載でも触れているように、2026年にリリースされるWindows OS――別の言い方をすれば「大型アップデート」は比較的小規模なもので、現行の「24H2」「25H2」と同じ「Germanium」コアを採用し、その延長線上にあるということはほぼ確実になっている。
そのため、少なくとも2026年にこのような機能に対応したAI専用OSがリリースされることはないし、仮に「40TOPSのNPUを必須」とするOSがあったとしても、それはSnapdragon X2 Elite/Extremeなどの当初からCopilot+ PCの要件を満たす「26H1」を搭載したデバイスでしかない。
なお、「CoreOS」や「CorePC」などの名称で呼ばれるアーキテクチャは現在のところWindowsの開発途上バージョンでは見かけられない。これもあくまでうわさにとどまっている。
実際、Windowsの最新事情について一番リーク情報を報じているWindows Centralのザック・ボーデン氏も、自身の記事で「いいかげんで完全に間違えた内容のレポート」と述べ、Redditなどで拡散した情報へのリンクを紹介している(Redditのトピックは、後ほどすぐに削除された模様)。
その後、PCWorldの当該記事には「Editor's note」という項目が新たに追加され、当該の記事は(提携誌とみられる)PC-Weltというドイツ語の記事を翻訳してそのまま掲載したが、内容的にPCWorld誌の掲載基準を満たすものではなく、その後PC-Weltに連絡して内容の変更を行ったことを追記している。
後ほど調べた範囲で分かったことだが、元となったドイツ語版の記事の執筆者であるトーマス・ジョース(Thomas Joos)氏は2023〜2024年ごろに出回った中国語や英語を含む複数のうわさ記事から情報をかいつまんで再編集をかけており、内容の真偽や実際の状況について考察もなくまとめた結果、このような内容になったとみられている。
そのため、2025〜2026年時点では既に過去のうわさや終了済みのプロジェクトが再度掘り返されていたり、実現の可能性も含めて疑問符が浮かぶものになったと考えられる。
ただ、ジョース氏自身はベテランのライターのようで技術書の執筆ではかなりの実績があり、そうした記事群に紛れてときどき信ぴょう性に乏しい記事を書く傾向があるようだ。Windows 11がリリースされて4年半近くが経過し、うわさが先行しやすい時期ではあるものの、筆者も含めてこういった情報の扱いには注意したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
GUI登場以来のUI変更? 「チャット」から「自律実行」へ Windowsを“エージェントOS”に変える「Copilot Tasks」の波紋
Microsoftが新たに発表した「Copilot Tasks」は、単なるチャットボットの枠を超え、複数アプリを横断する特定の手順に沿ったタスクをバックグラウンドで自律実行するAI機能だ。来るであろう“エージェントOS”時代の幕開けを予感させる本機能の仕組みと、PC操作にもたらすインパクトについて解説する。
動き出した「次世代Windows」と「タスクバー自由化」のうわさ――開発ビルドから読み解く最新OS事情
2026年から2027年にかけて行われるWindows OSのアップデート計画に、新たな動きが見え始めた。ここでは、最新の開発ビルドから読み解く今後のアップデートの行方を整理してお届けする。
Windows 10サポート終了から半年、シェア7割に迫るWindows 11――その裏で進むOSの“断絶”と再統合
Windows 10のサポート終了(EOS)から半年が経過し、順調にシェアを伸ばすWindows 11。しかし2026年、そのアップデートサイクルに異変が生じようとしている。最新の市場シェア動向と併せて解説しよう。
AIゴリ押し戦略が招いた代償 Windows 11変革期におけるMicrosoftの苦悩
AI推進の手を緩めないMicrosoftだが、ことWindows 11においてはAI戦略の見直しが迫られている。その現状を見ていこう。
2026年のWindows 11は年2回更新へ──先行する「26H1」と本命「26H2」の複雑な関係
MicrosoftはWindows 11において「年1回の大型アップデート」を基本方針としているが、2026年はそのサイクルが大きく変わる年になりそうだ。2026年前半に登場見込みの「26H1」と、後半の「26H2」の関係と、複雑化するアップデートの全体像を整理する。

