ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第5回 歯科医療の現場を助ける「かかりつけ_helper」(4/4)
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この2つのプラグインを発見したことで、鷲沢先生は「かかりつけ_helper」開発の壁を乗り越え、2001年暮れに、ソフトウェアの完成を見ることができました。ちなみにこのプラグインは、ファイルメーカーユーザーグループのメーリングリストで調べたり、Googleを使って検索したりして探した結果、見つけたものだといいます。
ちなみに鷲沢先生が参加しているユーザーグループは、関東地区のファイルメーカーユーザーグループ「FM-Tokyo」です、3月には自らファイルメーカープラグインを題材に熱弁をふるいました。このミーティングのために、わざわざ診療を休んで新幹線で新潟から東京まで出てきているそうです。東京のほかに、名古屋、関西、九州にユーザーグループがあるので、ファイルメーカーユーザーズグループのトップページからさがしてみるとよいでしょう。
しかし、壁を超えたとはいえ、鷲沢先生の「野望」はとどまるところをしりません。次はファイルメーカー Mobile for Palm OS and Pocket PCを連動させる仕組みを考え出しました。探針と呼ばれる、歯をチェックするための器具の逆の部分をそのままスタイラスがわりに使えば、患者の口腔内をチェックして、そのようすをデータ化し、出血点を記入したりもできます。あとでSyncさせれば、PalmもPocket PCも、立派な医療器具の仲間入りです。このような携帯デバイスを使うメリットとしては、患者に圧迫感を与えないこともあげられると鷲沢先生は説明します。
探針を逆にもてば、スタイラスがわりになり、そのまま症状を入力可能
医院での運用はサーバ、クライアントともにファイルメーカーProを利用
ファイルメーカーとの出会い
鷲沢先生がファイルメーカーと出会ったのは、1993年頃。PC-8001に始まり、その後はMS-DOSユーザーになり、dBASEやLotus 1-2-3を利用していたのが、Macを見て衝撃を受け、1993年の4月にCentris 650を購入。65,000色を表示できるビデオカードを入れて、口腔内写真を表示させたりしていたといいます。
最初はアシュトン・テイト(現ボーランド)のdBASEというデータベースを使っていました。しかし、このデータベースはGUIを使ったものではなく、データベースを使うための敷居は非常に高いものでした。ですから、最初にファイルメーカーProを見たときには、「データ長という概念がないことに驚いた」そうです。フィールドに入れることができるテキストの長さは、設計段階で決めておく必要がある場合がほとんどで、その作業を行う必要がないファイルメーカーは当時からユニークなものだったのです。
鷲沢先生は自分の医院で運用していたファイルメーカーソリューションを歯科医師仲間のプライベートな勉強会で披露していたのですが、その評判がよいことから、それを商品として広く使ってもらうことを考えました。このジャンルのソフトは120万円もするもので、Macオンリー、しかも画面解像度に制限があったりしていたのです。自分で使い、臨床の現場でほかのベータテスターの意見も聞きつつ、現在も開発は続けられています。
鷲沢院長は、自ら歯科医師ソリューションを開発する
「4人の先生方にはスクリプトもオープンにして、フィードバックを受けており、フィールドの幅から、スクリプトの順番まで細かいアドバイスを受けています」と鷲沢先生は笑います。「医療用のソフトウェアはピンからキリまでありますが、すべて技術者が作ったソフトです。もちろん、先生方のアドバイスはあるでしょうが、現場をわかる人間が作ったもののほうがいいはずです」(鷲沢先生)
関連リンク
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[松尾公也, ITmedia
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