子どもの携帯利用、“危ないから使わせない”では問題が改善されない――KDDIの小野寺氏
KDDI 代表取締役社長兼会長の小野寺正氏が、青少年の安全な携帯利用に向けた取り組みを説明。「危ないから使わせない」というアプローチでは、問題は改善されないといい、使いながら学べる取り組みを推進するとした。
「携帯電話にしてもインターネットにしても、積極的に使った上で何が問題なのかを学ぶことが重要なのではないか」――。子どもの携帯利用についてさまざまな議論がなされる中、KDDI 代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は、同社の取り組みの基本姿勢をこう説明した。
大阪府が公立小中高での“原則携帯持ち込み禁止”の方針を打ち出して以来、それに同調する動きが高まっているが、“使いながら学ぶ”など、携帯電話を教育に溶け込ませるやりかたもあるのではないか、というのが小野寺氏の考えだ。
ケータイの教育的利用を啓発、体験学習を支援
“使いながら学ぶ”ことを推進するからには、キャリアとして安心・安全な利用に向けた機能を充実させる必要がある。小野寺氏は、KDDIでは安全に配慮した携帯電話の開発、フィルタリングサービスの提供、ケータイ教室の開催の3つの観点で取り組んでいると説明する。
フィルタリングについては、「ブラックリストはサイトがアップされたあとに確認し、対応することから、どうしても(対応に)遅れが生じる。手口も巧妙になり、SNSから出会い系に飛ぶこともあるなど発見に時間がかかる」(小野寺氏)と指摘。このため小学生には、より安全なホワイトリストを原則適用しているという。
一方でホワイトリストもブラックリストも、学校の掲示板など役に立つサイトにまでアクセスできなくなるという問題があることから、この6月から親権者と利用する子どもが任意のフィルタリングルールを設定できる「EZ安心アクセスサービス カスタマイズコース」を提供。また、親が契約した端末を子どもが使うなど、契約者と利用者が異なる場合でも、適正なフィルタサービスを適用できるよう、「利用者登録制度」も導入している。
これまで20万人が受講したというケータイ教室は、メールのいじめやネット犯罪対策など、社会問題化している題材を教材として取り上げるとともに、対象を小中高校の生徒から保護者や教職員まで拡大して展開する計画だ。
携帯の教育的利用を啓発する取り組みも
新たな取り組みとしては来年度から、携帯の教育的利用の啓発を目的とした体験型学習を支援すると説明。現実に起こっているニュースに触れながら、子どもたち自身に携帯電話でできることやできないことを考えてもらうことを目指すとし、こうした授業作りをNPO法人の企業教育研究会を通じてサポートする計画だ。
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