最新の無線技術にいち早く対応、さらなるシェア拡大を目指す――ZTEに聞くAndroid戦略:Mobile World Congress 2011
2010年第4四半期の端末出荷台数で、世界第4位に躍り出た中国のZTE。Androidの製品ラインを拡充し、最新の無線技術に対応したタブレットをいち早く投入することで、さらなるシェア拡大を目指す。
ネットワークのインフラから端末までを幅広く手がける中ZTEは、ローエンドのキャリアブランド端末やデータ通信端末の開発で力をつけてきたメーカーだ。急成長する中国のモバイル市場や海外市場のニーズに対応すべく、端末の開発体制を強化するとともに、製品ラインナップを拡充。IDCが行った2010年第4四半期の市場調査によると、ZTEの出荷台数は前年同期比86.2%増という驚異的な成長を遂げ、世界第4位の座を獲得している。2011年には、端末メーカー各社が相次いで端末を投入しているタブレット市場にも注力するとし、モバイル市場における存在感を高めたい考えだ。
スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2011」で、同社のモバイルブロードバンドデバイス事業部でタブレット端末を担当するワン・ヨン(王勇)氏に、同社のAndroid端末戦略について聞いた。
タブレット市場で世界第3位のZTE、新端末を第3四半期に投入
―― (聞き手:末岡洋子) これまでタブレット端末は、どのような製品ラインで展開してきたのでしょうか?
ワン・ヨン氏(以下ワン氏) タブレットは、2010年10月に「Light」(「V9」)を発表しました。Android 2.2をベースとし、静電容量方式の7インチタッチパネルを備えた端末です。
Lightは現在、欧州やオーストラリア、ロシア、南米、中国などの市場で提供しており、これまで30万台を出荷しました。これはAppleの「iPad」、Samsungの「Galaxy Tab」に次いで、第3位となります。日本でも近いうちに発売する予定です(注:日本通信が2月24日、「Light Tab」として発表した)。
3月には、7インチのTFTディスプレイと1GHzのプロセッサを搭載するAndroidベースの「Light 2」(「V9+」)を発売します。この端末も、日本で2011年の前半に発売される見通しです。
Light 2(写真=左)。プレス向けに披露した「Light 3」(写真=右)は、10インチ(WSVGA)ディスプレイを備え、1.2GHzのデュアルコアプロセッサを搭載したタブレット端末。OSは最新の「Android 3.0」を採用している
―― MWCでは、LGやHTCもAndroidタブレットを発表しました。端末メーカー各社が次々とタブレットを投入していますが、その中でZTE製のタブレットはどこが強みになるのでしょうか。
ワン氏 モバイルブロードバンド時代に重要なポイントは、(1)3Gと4Gへの対応 (2)コンテンツ (3)OS (4)新しいハードウェア の4つだと考えています。
ZTEでは、LTEなどの最新無線技術にいち早く対応していきます。OSがAndroidという点では他社のタブレット端末と同じですが、われわれのタブレットは下り最大84MbpsのHSPA+をサポートしていきます。MWCでは、次期フラッグシップタブレットの「Light 3」も発表しました。Light 3は3Gに加え、WiMAXとLTEにも対応する端末で、第3四半期の投入を予定しています。
ハードウェア面では、ディスプレイの解像度や明るさなどで改善を図っています。今後数カ月以内に、新たなディスプレイの技術を発表する計画です。これにより、さらにリードできると考えています。
―― ユーザーインタフェースはどうでしょう? 他社も力を入れています。
ワン氏 モバイルコンバージェンス時代においては、使いやすさがますます重要になると考えています。ZTEは社内でユーザーインタフェース専門の開発部門を設けており、中国、欧州、米国で作業を進めています。AndroidはオープンなOSなので、UIデザインを専業とするような企業とも協業していきたいと思っています。
もう1つ、アプリケーションやサービスも重要になってくると考えています。ここでも、新たに事業部を立ち上げて強化していく計画です。
―― Wholesale Applications Community(WAC)の仕様に準拠した端末を開発すると発表していますが、アプリケーションではWACを活用するのでしょうか?
ワン氏 その通りです。2010年第3四半期にWACに加入しました。タブレット端末はフィリピンの通信オペレーター、SMART向けに対応機種を開発しています。
日本市場向けには5〜10製品の投入を目指す
―― 通信オペレーター向けにOEM供給するこれまでのBtoBモデルから、自社ブランドの確立に向けて、どのような戦略をとるのでしょうか?
ワン氏 まずは通信オペレーターを通じて、顧客や市場を理解したいと思っています。日本では2010年、「Libero 003Z」の発売に向けて、ソフトバンクモバイルとともに全国でブランド認知を図る活動を展開しました。今年も引き続きブランド訴求に取り組みます。もっと製品を増やし、共同でのブランディングや広告を展開したいと思っています。
アメリカ、ドイツなどの市場でも、ZTEブランドの端末が認知されるようになってきましたし、フィンランドはNokiaのお膝元で他社が進出しにくい市場ですが、北欧オペレーターのElisaがフィンランドとデンマークでわれわれのタブレットを提供しており、かなり好評を博しています。
―― 2011年の日本市場に対する取り組みを教えてください。
ワン氏 日本は大きなチャンスがある市場で、欧州と北米に並び重要視しています。今年も通信キャリアと協力して、タブレットやデータ通信カード、モバイルWi-Fiルータ、シニア向け端末などを提供していく計画です。数にして5〜10製品を投入できればと思っています。
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