第27鉄 運行終了まであと1カ月――さらば、寝台特急「北陸」杉山淳一の +R Style(2/5 ページ)

» 2010年02月15日 20時15分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 この個室は、狭いながらもなかなか機能的にできている。ベッドの窓際には背もたれとひじ掛けがあって、寝ないときはいすとして使える。寝るときはひじ掛けを跳ね上げればいい。ベッドの高さは低いが、寝相が悪い人のために安全柵を下から引き出せる。通路側には読書灯がある。その周りに室内灯と足下照明のスイッチ、暖房調整つまみ、換気扇のスイッチがある。通路側も窓があるから、列車の左右の車窓を楽しめる。

B寝台個室車両の通路(左)。B寝台個室「ソロ」の下段。ベッド部分の天井が低い理由は、そこが上段個室の通路になっているから。ベッドの横には、2階へ上る階段裏のデッドスペースを利用した収納がある(中)。読書灯まわりのスイッチ。照明や室温を調節可能(右)

シャワーと駅弁で粛々と就寝準備

 北陸の2号車にはシャワールームが2つある。ここを利用するには、車掌さんからシャワーチケットを購入する。料金は1回310円だ。洗面用具を持っていなくても、車掌さんが販売としているから大丈夫。ただし、列車に搭載できるお湯の量が決まっているから、シャワーチケットは数に限りがある。早めに入手しよう。揺れていると洗いにくいから、発車前に浴びるといい。そのためにも入線時刻をチェックしておきたい。

 シャワールームは1畳ぶんほどの広さ。手前の半畳が脱衣場で、扉を開けた奥の半畳が洗い場だ。シャワーチケットを機械に挿入すると稼働開始。お湯が出る時間は6分間だ。短いな、と思ったけれど、栓を閉じている時間はカウントされないので意外と十分な時間である。1分で温度を調節して、1分半で体を濡らしてお湯を止め、石けんとシャンプーで身体を洗って1分半で流す。横幅の大きな私の身体で2分ほど余った。長髪を洗うにはギリギリという時間だろうか。

洗面セット(300円)の中身。タオル、石けん、シャンプー、リンス、シャワーキャップ、ひげそり、歯ブラシ。左の青いカードがシャワーチケット(310円)。その下の緑色のカードは個室用カードキー(左)。シャワールームの脱衣室。なおドライヤーは制限時間なし(中)。シャワールーム洗い場。緑のボタンでお湯が出る。赤のボタンで停止。お湯は6分間利用でき、流れている時間だけ赤いデジタル表示がカウントダウンする(右)

 個室に戻って服を脱ぐ。カーテンを閉め、気楽にTシャツと短パン姿になれるところも個室のいいところだ。浴衣も用意されているが標準的な体格の人向けだ。残念ながら私には無理だった……。

 楽な姿になったところで遅めの夕食。北陸には食堂車がないので、乗車前に食事を済ませておくか、駅弁を調達する必要がある。北陸は海の幸が豊富で、駅弁も有名な「ますのすし」など魚介系が多い。しかし私は魚介がダメなので大友楼の「特製牛肉弁当」を買っておいた。列車が揺れて眠れない、と心配ならお酒もいただく。流れていく夜景を眺めつつ味わう、うまい駅弁にうまい酒。至福の時間である。

食堂車や車内販売はない。事前に調達しておこう

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.