第28鉄 流氷を追って知床へ! ダルマストーブ列車でオホーツク海岸の旅杉山淳一の +R Style(3/5 ページ)

» 2010年03月08日 07時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

最低気温マイナス13度の「暖かい網走」。流氷は遠かった……

 網走駅からはバスで約10分の「流氷砕氷船のりば」へ。ここは網走川の河口で、「道の駅流氷街道網走」でもある。流氷観光砕氷船「おーろら」号は、流氷の時期に合わせて、1月は4便、2月と3月は5便の運航だ。さらに2月5日から3月31日までは「サンセットクルーズ」という第6便が出る。この便では夕陽に赤く輝く流氷を眺められ、日没後は船から投光して光のライトアップも楽しめるという。この第6便を希望していたけれど、あいにく取材日は「流氷がない」とのことで欠航。15時30分発の第5便も「今日は流氷がないので湾内遊覧ですがよろしいですか」と念を押され、料金も若干の値引きとなった。

網走駅に到着。晴れているが最高気温は氷点下
流氷観光砕氷船「おーろら号」。厚さ50cmの氷を砕きながら3ノットで進行できるという

 「せっかく来たのに流氷はないんだ……」とガッカリしていたのだが、船室から海面をよく見ると、ポツン、ポツンと薄い氷が。寒い甲板に出て船員さんに尋ねれば、まさしくそれは流氷だという。「前の便も氷のあるところに行ったんだよ。だから今回も見られるはず」とのこと。そのうちに氷の数が増え、大きさや厚みもちょっとだけ増していった。最初は関東のクラゲが浮く海のようだった。でも、これだけ氷があれば「流氷初心者」の私には嬉しい。観光ポスターのような景色ではなかったものの、ここまで来なければ見られない景色を眺めることができた。

港から約30分で流氷地帯に到達。時間切れで引き返す

 この日は網走駅前のビジネスホテル泊。なぜかというと、翌朝は始発列車で出発するから。そしてもうひとつ。ここから有名な「ザンギ」の店まで徒歩で行けるから。ザンギとは、北海道流の鶏の唐揚げのこと。片栗粉の衣にいろいろなタレの味を染みこませてある。外はカリッとして、引き締まった肉をかみしめると肉汁がジュワッと出てくる。お店の名前は「なると」。四国は鳴門出身の創業者が小樽で始めた店で、網走店はそこで修行した店主がのれんを分けてもらったそうだ。メニューはザンギと鶏の半身揚げだけ。テイクアウトのみ。マイナス10度の街だから、この店の近くに泊りたかった。さらさらした雪を踏みしめるとキュッと音が鳴る。その音を聞きながら店まで往復し、ホテルで熱々のザンギをほおばった。満足!

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