第49鉄 マルーン色の電車旅――阪急電車と能勢電鉄で行く妙見山杉山淳一の+R Style(3/6 ページ)

» 2011年06月07日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 次の電車は宝塚線。先に出る電車は箕面駅行きの準急だ。とりあえずこれに乗ったけど、箕面駅は宝塚線ではなく、石橋駅から分岐する箕面線の終点だ。そこで石橋駅で降り、あとから来る急行に乗り換えた。ちなみに箕面線は阪急電鉄のルーツ。1907年に梅田と宝塚、石橋と箕面を結んだ箕面有馬電気軌道を開業した。その創業者の1人が小林一三氏で、この会社を発展させて阪急東宝グループへと育てていった。

 石橋から乗った電車を2つ隣の駅、川西能勢口駅で降りる。ここが能勢電鉄の起点だ。でも乗り換える前にホームで電車を観察。平日の朝の時間帯だけ、能勢電鉄から宝塚線に乗り入れて梅田へ直通する特急「日生エクスプレス」が走っている。能勢電鉄の日生中央駅付近は大規模なニュータウンで、そこからの通勤客のために走らせる列車だ。朝のラッシュ時に上り列車だけ、夕方のラッシュ時に下り列車だけ走る。能勢電鉄は最大8両編成に対応しているけれど、宝塚線のラッシュ時間帯は10両で運行する。だから、川西能勢口駅で2両を増結する。この風景も珍しいから眺めておきたい。

阪急のルーツ・宝塚線で、川西能勢口へ

マルーンな能勢電鉄で妙見口へ

 能勢電鉄の電車は阪急電鉄と同じマルーン色。阪急電鉄から譲渡された車両を使っていることもあり、外観だけだと阪急の路線に見える。実際に阪急電鉄の子会社でもある。ただし、側面と前面窓ガラスに能勢電鉄のマークがついている。

 能勢電鉄の創業は宝塚線開業直後の1908年。日蓮宗の関西総本山である能勢妙見宮への参詣鉄道として作られた。また、能勢地域の特産品を輸送する貨物鉄道としても活躍したという。能勢地域の特産品には、有名なソフトドリンクがある。三ツ矢サイダーだ。三ツ矢サイダーは沿線の平野鉱泉から作られていた。能勢電鉄の収入の半分がサイダーの輸送料金だったそうだ。

川西能勢口駅。能勢電鉄から日生エクスプレスが到着
ここで梅田側に2両を増結する
一方、通勤と逆方向の能勢電鉄方面はひっそり

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.