ベトナム航空で成田からホーチミンへ秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/5 ページ)

» 2011年09月28日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

異国の地で再会する恋人たち

 離陸前に機内を少し歩いてみる。団体ツアー客に混ざって、1人旅らしい乗客も少なくない。都内に在住というTさん(26歳、女性)に話を聞いてみた。

 「ホーチミンまでは1人ですが、空港で彼と落ち合うことになっているんです」とTさんは言った。「幼なじみの彼は地元大阪で働いていて、私はデザインの勉強のため東京に出てきました。いわゆる遠距離恋愛です。普段はなかなか会えませんが、夏休みをとって2人で旅行しようと計画し、それぞれ成田と関空から出発してホーチミンで合流することにしました。ホーチミンで国内線のダナン行きに乗り継いで、中部のリゾートへ向かいます」

 なるほど、と感心した。遠距離恋愛をしているカップルにとっては、こんな旅のプランもあるのだな──と。ベトナム航空は成田からのほか、関西、中部、福岡からもホーチミンとハノイに就航している。いずれも同じ時間帯に各空港を出発し、現地には午後の早い時間帯に到着。そこからはほとんど待ち時間なく国内線や、カンボジア、ラオスなど近隣諸国への同日乗り継ぎが可能だ。どちらかが東京か大阪へ移動して旅をスタートするのではなく、恋人同士が異国の地で再会を果たす。そんな演出が2人の旅行気分をより盛り上げるに違いない。

飛行機と空と旅 VN951便はホーチミンに向け成田を離陸(撮影:チャーリィ古庄)

アオザイ姿のクルーに迎えられて

 さて、ベトナム航空というと、多くの人が思い浮かべるのが独特なブルーグリーンの機体と尾翼に金色の蓮(ハス)の花をあしらったカラーリングだろう。蓮はベトナムでは高貴で神聖な花として親しまれている。そしてもう1つの特徴が、女性客室乗務員が身にまとっているベトナムの民族衣装アオザイのユニフォームだ。アオザイの色はかつての淡いブルーから日本に乗り入れるころにはピンクに、そして現在は真紅に変わっている。

飛行機と空と旅 尾翼の蓮の花はベトナム航空のシンボルマーク

 日本路線には、日本人クルーが1〜2名ずつ乗務している。この日は、2010年4月に同期で入社したという尾崎彩加さんと馬場美帆さんが機内で出迎えてくれた。2人とも、アオザイ姿がよく似合う。

 「ベトナムでは特別なお客さまをおもてなしする際に、昔から赤のアオザイを着る習慣があるそうです。アオザイは1人ひとりにピッタリのサイズに作るため、採寸は20〜30カ所にもおよぶんですよ」と話してくれたのは馬場さんだ。「少しでも太ると着れなくなるので自己管理が大切ですし、日本の着物のように美しく見せるため、所作にも正式なマナーがあるんです。例えば床に落ちたモノを拾うときは、特徴的な長い裾に手を添えて、乱れのないように気を配ったり。新人訓練では、そんな立ち居振る舞いの練習を繰り返し行いました」

飛行機と空と旅 アオザイ姿の日本人クルー、尾崎彩加さん(左)と馬場美帆さん

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