ジャンボよ、永遠に! シンガポール航空747-400ラストフライト搭乗記秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/4 ページ)

» 2012年05月25日 10時50分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

 シンガポール航空が1973年より約40年にわたって運航を続けてきた“ジャンボ機”ボーイング747が、2012年3月25日のメルボルンへの往復を最後に定期路線から退役した。4月6日にはシンガポール/香港の往復で便名を「SQ747/748」に名前を変え、メモリアルフライトを実施。私が急きょシンガポールへ飛んだのも、その特別便に搭乗し、これまで空の旅で何度もお世話になった“あいつ”に別れを言うためだった。

飛行機と空と旅 シンガポール航空のボーイング747-400(撮影:チャーリィ古庄)

世界の空を開拓したハイテクジャンボ

 シンガポール航空の歴史の中で、「ハイテクジャンボ」と呼ばれた747-400が果たしてきた役割はきわめて大きい。世界の空に翼を広げてきた同社の成長の軌跡をたどると、その中心にはいつも747-400がいたように思う。

 東南アジアで最初の747となる747-200Bをシンガポール航空が導入したのは、1973年だった。同社はその前年の1972年に、マレーシア・シンガポール航空から分離独立したばかり。当時は前社から引き継いだ707や737など初期タイプの機材しか保有していなかった状況を考えると、いきなり最新鋭の大型機導入というのは大きな決断だったろう。長距離路線に適した航続性能を有する747の活躍により、シンガポール航空は創業から5年足らずで太平洋地域におけるトップ5のエアラインに急成長を遂げた。そして747の導入から10年目となる1983年には、747-300によって新たな時代を迎えることになる。

飛行機と空と旅 新しい747-300の到着を祝う関係者たち(提供:シンガポール航空)

 747-100や747-200は「クラシックジャンボ」と呼ばれ、いずれも1970年代を中心に活躍したタイプだ。そのクラシックジャンボの最終モデルとなったのが、旧型の2階席を後方に約7メートル延長した747-300。2階席だけで最大63名の乗客が乗れるようになり、このボディの形はのちの747-400にも引き継がれていく。最新鋭機をいち早く導入するエアライン──そんなイメージがすっかり定着したシンガポール航空が747-400の初号機を受領したのは、1989年3月だった。そして翌4月からは同型機を日本路線の定期便に就航させ、さらには商業飛行で初めて太平洋を越えるという快挙も成し遂げる。

 それから23年。シンガポール航空の747-400は世界の空を開拓しながら、常に時代の先端を飛び続けてきたのである。

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