アウディのハイパフォーマンスモデル「S Model」の実力は?試乗インプレッション(3/5 ページ)

» 2012年10月03日 12時29分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

背中がぐぐっと押し付けられるような加速感

 合流路でぐっとアクセルを踏み込むと、さすがは1400回転から550ニュートンメートルもの大トルクを発生させるエンジン、即座にぐいぐい加速を始める。背中がシートバックにぐぐっと押し付けられるような加速感を味わいながら本線に合流し、周囲の交通状況をあらためて確認すると、「ん、ほかの車がやけに遅いな……」。ちらりとスピードメーターに目をやると「!!!」。とてつもないスピードが出ているのだ。

S6 AvantS6 AvantS6 Avant Audi S6 Avant(クリックで拡大)

 慌ててバックミラーを確認し、ブレーキを踏み込んで巡航速度まで減速。ほっと一息付くが、ドライバーの慌てぶりをよそに、クルマは一切不安な挙動を見せない。それどころか、キャビン内に余計なエンジンノイズやロードノイズがほとんど入り込んでこないので、まるで街中をゆっくり流しているときと同じような乗り心地だ。

 ちょっと油断して飛ばしていると、いつの間にやら超高速域に入り込んでしまう。「これは、普通のクルマと同じ感覚で運転するとマズそうだ……」。気を取り直して、あらためて高速域での乗り味を確かめてみる。

 とにかく、「速い」。これは大パワーエンジンがもたらす加速性能によるところが大きいのだが、それ以上に個人的に印象に残ったのが「足回りの速さ」だ。巡航時はもちろんのこと、ちょっと急な加減速時であっても、とにかくどこまでいっても挙動が安定している。長めのホイールベースやクワトロ4WD、ボディ剛性の高さなどが総合的に効いているのだろうか。

 と同時に、低速走行時とほぼ変わらない乗り心地の良さも両立させているところに、このクルマが目指すコンセプトが表現されている。エアサスペンションのセッティングは、低速走行時と比べると固めになっているのだろうが、決して固さを感じることはない。ノイズや振動が高まることもなく、ステアリングの手応えも終始しっかりしているので、ドライバーに余計なストレスを一切与えない。これならきっと、アウトバーンでの時速200キロ超の巡航も、楽々とこなせてしまうのだろう。

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