よく聞く「ハブ空港」って何?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/4 ページ)

» 2013年02月27日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

よく聞く「ハブ空港」って何?

 エアライン関係のニュースの中で、よく「ハブ空港」という言葉が登場する。「ハブ空港とは、つまり大都市の大きな空港のことだよ」とワケ知り顔で説明する人がいるが、残念ながらそうではない。ハブ空港が大都市に置かれるケースが多いのは事実だが、大都市にあればすべてハブ空港ではないのだ。では、ハブ空港とはどんな空港なのか? 分かりやすいように、図を使って説明しよう。

 AからDまで4都市の空港があるとする。この4都市の空港をまずは<パターン1>ようにすべて直行便で結ぶと、AとB、AとC、AとD、さらにBとC、BとD、CとDというように6通りの路線が必要になる。では、A空港を中心に<パターン2>のような路線で結ぶとどうか? 中心にあるA空港からは他の3空港に直接、そしてB、C、Dの空港間はA空港を経由することで行き来できる。

 この<パターン2>の場合の必要路線数は、すべてを直行便でつないだ<パターン1>の半分──つまり4都市がたった3つの路線でつながった。この<パターン2>のケースで、A空港のように路線網の中心として機能する空港を「ハブ空港」と呼ぶ。

飛行機と空と旅 ハブ空港の概念図。〈パターン2〉のA空港がハブとして機能している。

 ハブとは、もともと自転車などの車輪の「軸」の部分を指す言葉だ。そこにたくさんのスポークが集まる様子から、ローカル空港へ放射状に航空路線が伸びる中心(拠点)に位置する空港をハブ空港と呼ぶようになった。自転車の車輪のハブとスポークに例えた「ハブ&スポーク方式」という言葉も定着している。では、ハブ&スポーク方式での路線網を展開することで、どんなメリットがあるのだろうか?

 エアライン各社にとっては、ハブ&スポーク方式の導入によりダイヤを効率的に組めるようになる。すべての空港を直行便で結ぶとなると、そのぶん運航便数が増加。機材(旅客機)の振り分けや乗務員(パイロットやキャビンアテンダント)の割り当てなどの調整も複雑になってしまう。その点、ハブ空港を中心とした路線展開なら、便数もぐっと減らすことが可能だ。

 また、先の図にあげた4つの都市の例で、1日に最大12便を運航できる能力があるエアラインを考えてみよう。4空港すべてを直行便で結ぶ場合は、必要な6つの路線に2便ずつ、つまり毎日1往復しか割り当てられない。それをハブ&スポーク方式でA空港を中心にした路線展開にすれば、3つの路線に1日4便ずつ、2往復を運航できる。その2往復を午前便と午後便などに振り分ければ、利用者にとっても選択の幅が増えてとても便利。ローカル空港からローカル空港へ移動する場合も、ハブ空港での1回の乗り継ぎで都合のいい時間帯にどこへでも行けるようになるのである。

飛行機と空と旅 ANAにとっての国内でのメインハブ、羽田空港(撮影:チャーリィ古庄)

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