OCEANUSのターゲットは「35歳」――デジタル技術で実現するアナログウオッチとは?2014年で10周年(2/4 ページ)

» 2013年12月25日 08時00分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

「オシアナスブルー」のきっかけ

OCEANUS「OCW-M700」

――OCEANUSブランドのモデルは「オシアナスブルー」と称される深みのあるブルーがとても印象的ですよね。このブランドカラーも当初から打ち出されていたのですか。

田中: ブルーを全面的に押し出すブランディング戦略は、2006年10月に発売した「OCW-M700」という製品で確立されました。このモデルでは、ブルーを蒸着させる製造技術にブレイクスルーがあったこともあり、OCEANUSというブランド名の由来(ギリシャ神話の海の神「オケアノス」)である海をイメージさせるブルーをブランドカラーとして打ち出すカラーマーケティング戦略が確立されたのです。またこのモデルでは、従来モデルよりケースを非常に薄くできました。この薄型ケースの技術が、後のフラッグシップモデルである「MANTA」につながっていったのです。

――なるほど。デザイン面では、この2006年10月に登場したモデルが1つのターニングポイントになったわけですね。

田中: そうですね。デザインはテクノロジーと並んで、OCEANUSブランドの両翼と言えます。ブランドのキャッチコピー「Elegance, Technology」が表す通り、最先端のテクノロジーと、アナログウォッチならではのエレガントなデザインを融合させるというのが、ブランド立ち上げ当初からOCEANUSが目指す世界観なのです。

アナログウオッチで他社と差別化するポイントは「技術」

カシオ計算機 戦略統括部 SP戦略部 部長 田中秀和氏

――ブランド立ち上げ当初から独自性の追求に腐心されていたとのことですが、それにしてもアナログウォッチの世界は群雄割拠ですから、他メーカーとの差別化を図るのは大変だったのではないでしょうか。

田中: そうですね。アナログウォッチで先行するスイスの老舗メーカーや、他の国産メーカーと同じことをしても埋もれてしまうだけですし、お客さまもカシオにそのようなことは期待されていないでしょう。そこでOCEANUSでは、カシオ独自の技術を駆使した「多機能高級クロノグラフ」という新たなジャンルの創造を目指しているんです。

――「多機能」というのが1つのキーポイントなのですね。

田中: はい。例えば、クロノグラフ針は通常、ストップウォッチモード以外では12時をずっと指していますよね。しかし、電波ソーラーウォッチならではの“正確性”という特徴を際立たせるには、秒針の動きによる演出が極めて効果的なのです。そこでOCEANUSではクロノグラフ針をあえて、ストップウォッチモード以外では秒針として機能させるようにしました。そしてストップウォッチモードに切り替えると、即座に自動的に12時の位置に戻るわけです。

――確かに本来クロノグラフでは、一番長い針は秒針ではなくストップウォッチ機能用ですよね。そう説明いただいて改めて見てみると、クロノグラフ針が秒針として常に動いているのは、とても斬新です。

田中: この針の動きは、見ていてとても気持ちがいいんです。そうであれば、旧来のクロノグラフの仕様にこだわることなく、独自技術を駆使して実現してしまおうというのがOCEANUSのコンセプトです。また、こうして機能をどんどん増やしていくと、どうしても操作が複雑になってきてしまうのですが、これも「スマートアクセス」という独自技術で解決しています。リューズの操作によって、動作モードの切り替えなどをシンプルに行うことができるという技術なのですが、これによって「多機能でありながら、エレガントに操作できる」というOCEANUSのブランドイメージ通りの操作感を実現できたわけです。

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